「XMという海外FX業者に興味があるけど、金融庁の許可は得ているのかな?安全に取引できるの?」
このような疑問を抱える方は少なくありません。
近年、海外FX業者への注目が高まっています。
とりわけ、高レバレッジを活用したい投資家にとって、海外業者は魅力的な選択肢です。しかし、その反面、法的な安全性や信頼性に不安を感じることもあるでしょう。
本記事では、有名な海外FX業者である「XM(エックスエム)」について、金融庁との関係性や認可の有無、警告について、わかりやすく解説します。
結論からいえば、XMは、日本の事業者ではないため日本の金融庁の登録は受けていません。しかし、海外の事業者として適切な認可を受けており、信頼性の高い事業者です。
なぜそういえるのか、自身で知識を身につけ、怪しい業者と安全な業者を、自分で見分けられるようになりましょう。詳細は以下に続きます。
目次
1. XMは日本の金融庁からの認可は受けていない
まず「XMは金融庁の免許・許可・登録などを受けている業者ですか?」という疑問をクリアにしていきましょう。
1-1. 金融庁の業者一覧にXMの名前はなし
金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」のページでは、登録業者を確認できます。
FX取引であれば「金融商品取引業者」が該当し、金融商品取引業者登録一覧のPDFにて確認可能です。
2023年8月31日現在のデータでは、以下のとおり1,952の業者が登録を受けています。
上記にXMは記載されていませんから、XMは日本の金融庁には無登録の業者であることが確認できます。
1-2. XMは海外企業のため海外の認可を受けている
ただし、日本の金融庁に無登録だからといって、信頼できないわけではありません。XMは日本企業ではなく、海外企業のため、海外の認可を受けているのです。
1-2-1. XMの本社は南欧にある
海外認可に関する前知識として整理しておくと、そもそもXMとは何かといえば、その運営会社は、Trading Point Holdings Ltd(本社)です。
Trading Point Holdings Ltd の所在地は、キプロス共和国です。
キプロス共和国
出典:外務省「キプロス共和国」
キプロスはヨーロッパ東南部に位置し、ギリシャ語とトルコ語を公用語としています。
1-2-2. 日本で展開しているのは「XMTrading」
一方、日本で展開しているサービスの正式名称は「XMTrading」です。
XMTrading の運営は、グループ会社の“Tradexfin Limited”や、“Fintrade Limited”が担っています。
Tradexfin Limited の所在地は、セーシェル共和国です。
セーシェル共和国
セーシェルは、インド洋に浮かぶ115の島々からなる島国で、イギリス連邦の加盟国です。
もうひとつのFintrade Limitedの所在地は、モーリシャス共和国です。
モーリシャス共和国
モーリシャス共和国は、インド洋南西部に位置する島国で、イギリス連邦の加盟国です。
2. XMが取得しているライセンス
ここまでの前提を踏まえて、XMが取得しているライセンスを見てみましょう。XM公式サイトには、以下の記載があります。
以下で、それぞれの詳細を確認していきます。
2-1. セーシェル金融庁 (FSA)
まず、セーシェル共和国に所在するTradexfin Limitedは、FSAから証券ディーラーライセンス(番号SD010)を交付されています。
出典:XM「XMTD-Tradexfin-Securities-Dealer-Licence」
FSAはFinancial Services Authorityの略で、金融庁という意味です。
所在国のセーシェル共和国の公的な機関である金融庁から、正規のライセンスを交付されていることが、確認できます。
2-2. モーリシャス金融サービス委員会 (FSC)
次に、モーリシャス共和国に所在するFintrade Limitedは、FSCから証券ディーラー(引受を除くフルサービスディーラー)ライセンス(番号GB20025835)を交付されています。
FSCはFinancial Services Commissionの略で、銀行以外の金融業者の規制や監督を行う公的機関です。
こちらも、所在国のモーリシャス共和国にて正規のライセンスを取得しています。
2-3. キプロス証券取引委員会(CySec)
日本語版のXMTradingサイトで紹介されているのは、日本での運営会社である上記2社のライセンスです。
加えて、本社 Trading Point Holdings Ltd のサイトでは、本社所在地であるギプロス共和国で取得されたライセンスが公開されています。
出典:XM「Regulation and Licensing」
「CySec」は、キプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission)のことで、EU圏内で金融業者を規制する公的な機関です。
「CySec」のライセンスを取得していることは、XMの会社がEU法に則って運用されていることを意味し、XMの合法性と信頼性を示しているといえます。
ここまでの話のポイントをまとめておきましょう。
【XMと登録ライセンスのポイント】
- XMの運営会社は日本に所在していないため、日本の金融庁の登録は受けておらず、無登録業者である。
- しかし、XMの本社およびグループ会社は、それぞれの会社の所在地において、日本の金融庁に準ずる公的機関のライセンスを取得している、正規のFX業者である。
- 日本で取引を行う場合は、セーシェル金融庁 (FSA)またはモーリシャス金融サービス委員会 (FSC)のライセンスを取得しているグループ会社を利用することになる。
3. 金融庁が警告書を発した事業者にXMは含まれている
一方、注意したいポイントとしては、日本の金融庁が公表している「警告書の発出を行った無登録の海外所在業者」に、XMは掲載されています。
XMに限ったことではありませんが、海外FX業者を利用するということは、日本国の法律で守られていないエリアに踏み出すことになります。
だからこそ、大きなリターンの可能性があるともいえますが、リスクから目を背けないことは、成功への道筋として大切です。以下で詳しく解説します。
3-1. 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について
まず金融庁の文書の原本を確認しておきましょう。以下は2023年9月25日分の資料からの引用です。
出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
日本におけるXMの運営会社であるTradexfin Limitedが、令和2年8月(2020年8月)の日付で掲載されています。
3-2. 金融庁の警告書の詳細
なぜXMが警告を受けたのか、詳細を知りたい方は、財務省関東財務局のページに、当時の情報が残っています。以下をご確認ください。
出典:財務省関東財務局「無登録で金融商品取引業等を行う者について(Tradexfin Limited)」
3-3. 無登録でも勧誘しなければ取引OK
過去のこととはいえ、金融庁から警告を受けた事実のある海外業者で取引するか否かは、自己責任となります。
ただ、理解しておきたいのは、警告の対象は取引そのものではなく、勧誘(広告宣伝など)である点です。XMでの取引の安全性や違法性に対して、警告は発せられていません。
日本の金融庁の登録を受けない海外業者であっても、勧誘および勧誘に類する行為をしなければ、日本在住者と取引することは、違法ではありません。
繰り返しになりますが、金融庁のXMに対する警告は、“勧誘を行ったこと”に対して発せられています。詳しくは、金融庁の以下の解説が参考になります。
しかし、登録を受けない外国証券業者であっても、その取引相手が証券会社やその他金融機関等の場合、もしくは証券業者が「勧誘」及び「勧誘に類する行為」をすることなく国内居住者から注文を受ける場合は、国内居住者との取引をすることができます。⇒ 外国証券業者に関する法律施行令 第2条
ここで言う「勧誘に類する行為」とは、「新聞、雑誌、テレビジョン及びラジオ並びにこれらに類するものによる有価証券に対する投資に関する広告、有価証券に対する投資に関する説明会の開催、口頭、文書又は電話その他の通信手段による有価証券に対する投資に関する情報提供」等が含まれます。
⇒ 外国証券業者に関する命令 第7条
出典:金融庁「外国金融サービス業者が我が国市場に参入するにあたって適用される法規制」
参考:海外FXと国内FXは一体何が違うのか?違法性は?気になる部分を徹底解説
3-4. Fintrade Limited は勧誘の警告も受けていない
「取引に問題ないとはいえ、警告を受けている業者は、なんとなく不安」
と感じる方もいるでしょう。
その場合、XMの2つある運営会社のうち、Tradexfin Limited(所在国:セーシェル)ではなく、Fintrade Limited(所在国:モーリシャス)を選択するという方法があります。
Fintrade Limited は、前述の金融庁のリストに掲載されておらず、警告を受けた過去がありません。
XMでは、口座開設の際に、Tradexfin Limited か Fintrade Limited を選択できるようになっています。
【XM登録画面】
Tradexfin Limited と Fintrade Limited のどちらを選んでも、取引条件や取引環境に違いはありません。
Tradexfin Limited の警告が、気分的に気になる方は、下の段にある「Fintrade Limited」を選ぶとよいでしょう。
4. XMが日本の金融庁の登録を受けない理由
「XMが、金融庁の登録業者になってくれればシンプルなのに、なぜそうしないの?」
そんな素朴な疑問が浮かんだかもしれません。
理由としては、大きく2つ、挙げられます。
- 1. 海外企業であり日本の登録業者になる必要がない
- 2. 日本の規制に合わせると魅力的なトレード環境が失われる
4-1. 海外企業であり日本の登録業者になる必要がない
まず、そもそもXMは海外企業であり、日本の登録業者になる必要性がないことが挙げられます。
日本の金融庁に登録するためには、多数の要件を満たしたうえで大量の申請書や添付書類を作成し、登録審査を受けなければなりません。
【参考:登録審査手続の流れ】
多大な手間・労力と費用が生じます。必要性がなければ、登録を受けない選択肢は、至極当然な経営判断といえるでしょう。
4-2. 日本の規制に合わせると魅力的なトレード環境が失われる
もうひとつの理由は、日本の規制は厳しいことが挙げられます。
登録を受けるために日本の規制に合わせると、XMの持ち味である魅力的なトレード環境が失われるということです。
FX取引は高いリスクを伴うことから、日本の金融庁は投資者保護のためにルールを定めています。たとえば、レバレッジ制限に関するルールは、以下のとおりです。
○ 証拠金制度(レバレッジ制限)
個人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペアの種類を問わず、取引金額に対して4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要があります(レバレッジに換算すると25倍以下となります。)。
出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
XMの最大レバレッジは「1,000倍」です。これが可能となるのは、日本の金融庁に無登録だからこそ、といえます。
日本の金融庁の登録を受けるには、「レバレッジ25倍まで」という規制に従わなければなりません。
日本人トレーダーの視点から見ても、
「レバレッジ25倍なら、国内業者を使えばいいや(海外業者を使うメリットはない)」
というのが本音でしょう。
以上から、XMが無登録でサービス提供を続けているのは、XMの運営会社およびトレーダーたちにとって、合理的なメリットがあるからだと理解できます。
5. 金融庁とXMのよくある質問
最後に、金融庁とXMに関して、よくある質問の答えをまとめておきましょう。
- 【Q1】金融庁に無登録のXMを日本人が利用すると違法ですか?
- 【Q2】XMが金融庁から警告を受けたって本当ですか?
- 【Q3】XMは信頼できますか?怪しい海外FX業者ではないですか?
5-1. 【Q1】金融庁に無登録のXMを日本人が利用すると違法ですか?
いいえ、違法ではありません。
金融庁の登録を受けていないXMや、その他の海外FX業者を日本人が利用することについて、法的な制約はありません。
ただし、金融庁登録の業者以外は、日本の法律・規制の対象外であり、トラブルが生じた際の保護は期待できないことは、把握しておきましょう。
違法性について不安な方は、「海外FX業者の利用は違法?法律的根拠と金融庁の見解を合わせて解説」もあわせてお読みいただくと、スッキリと理解できます。
5-2. 【Q2】XMが金融庁から警告を受けたって本当ですか?
はい、本当です。
本記事中でもご紹介しましたが、無登録業者でありながら勧誘を行ったという理由で、2020年8月に警告を受けています。
日本の金融庁から警告を受けたのは、XMの日本運営会社2社のうち1社(Tradexfin Limited)で、もう1社の「Fintrade Limited」は、警告を受けた事実はありません。
5-3. 【Q3】XMは信頼できますか?怪しい海外FX業者ではないですか?
当サイトでは、XMを信頼できる海外FX業者として、ご紹介しています。
さまざまな海外FX業者がある中で比較すると、XMは信頼性の高いFX業者といえます。
【参考:海外FX業者の比較表】
出典:XMとは|1番人気の海外FX業者の特徴をどこよりも詳しく解説!
ただし、最終判断は、それぞれの投資家自身が納得したうえで、行うべきです。
XMについて、デメリットも含めた詳細は「XMとは|1番人気の海外FX業者の特徴をどこよりも詳しく解説!」にて解説しましたので、ぜひあわせてご覧ください。
6. まとめ
本記事では「XMと金融庁」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
- XMは日本の金融庁からの認可は受けていない
- XMは海外企業のため海外の認可を受けている
XMが海外で取得しているライセンスとして以下が挙げられます。
- セーシェル金融庁 (FSA)
- モーリシャス金融サービス委員会 (FSC)
- キプロス証券取引委員会(CySec)
※補足:その他にも諸外国のグループ会社が現地のライセンスを取得しています。
金融庁が警告書を発した事業者にXMは含まれていますが、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 警告は無登録業者であることではなく勧誘に関して行われた
- 無登録であっても取引自体に違法性はない
XMが日本の金融庁の登録を受けない理由として、以下が挙げられます。
- 海外企業であり日本の登録業者になる必要がない
- 日本の規制に合わせると魅力的なトレード環境が失われる
XMは日本の金融庁には登録されていないものの、他国の正規ライセンスを取得しています。
日本の法律・規制から外れるため、利用する際には注意が必要です。と同時に、国際基準のトレード環境を求める投資家にとって、魅力的な海外FX業者といえます。
自身でもよく情報収集をして、賢い選択をしていきましょう。
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