「FXのスイングトレードってどんな取引のことをいうの?」
「スイングトレードにメリットやリスクはあるの?」
FXにおけるスイングトレードとはFXにおける取引手法の一つで、2~3日間から2~3週間程度を目処にポジションを維持する取引スタイルのことを言います。
スイングトレードは取引の状況によっては1ヶ月を超えてポジションを保持するケースもありますが、基本的にFX取引としては「中期」でポジションを持ち、一回の取引で大きな利益を狙う取引手法であると言えます。
FXのスイングトレードには特に以下の5つの点で、FX取引における大きなメリットが期待できます。
中長期でポジションを持つスイングトレードは、世界経済の情勢による要因(ファンダメンタルズ)によって損益が大きく変化します。
このためスイングトレードは単なる取引のテクニックだけでなく、世界情勢を踏まえた相場分析も必要になる取引手法であると言えます。
そこで今回は、
- FXにおけるスイングトレードとは
- FXのスイングトレードにおける5つのメリット
- FXのスイングトレードにおける5つのデメリット
- スイングトレードがおすすめな人・おすすめでない人
- FXのスイングトレードで利益を上げるために知っておくべき5つのコツ
について詳しく解説していきます。
この記事を読めば、あなたも、FXのスイングトレードについての正しい知識を持ち、適切にトレードすることができますよ。
目次
1.FXにおけるスイングトレードとは
まずはFXのスイングトレードについて、以下の3つの点から基本的な情報を詳しく解説していきましょう。
一つずつ解説します。
1-1.FXのスイングトレードは2~3日から2~3週間ポジションを持つ手法
冒頭でもお伝えした通りFXのスイングトレードとは、一般的には2~3日から2~3週間程度の期間、ポジションを持ち、大きな利益を狙う取引手法です。
このポジション保有の期間については、あくまでも目安であり、状況に応じて長ければ数ヶ月にわたってポジションを保持する場合もあります。
基本的には日を跨いでポジションを保有し、中期でポジションを維持する取引全般が「スイングトレード」に該当すると考えていいでしょう。
スイングトレードの特徴は一言で言えば、ハイリスク・ハイリターンです。
一回の取引で大きく利益を上げることができ、また同様に大きな損失を被る可能性がある取引手法であると言えるでしょう。
また、短期で取引する場合に比べて取引回数が少なくなるため、資金効率があまり良くありません。
ただしその反面、チャートに張り付いて取引を続ける必要がないため、サラリーマンなど、取引時間をあまり持つことができないトレーダーには、たいへん便利な取引手法であるとも言えるでしょう。
1-2.FXのスイングトレードは4つのFX取引手法の一つ
FXのトレードには代表的なトレード手法が4つあり、スイングトレードはこのうちの一つに定義されています。
FXにおける代表的な取引手法は、スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードの4つの手法があり、それぞれに以下のように異なります。
取引手法 | 一回の売買にかかる取引時間 | 取引の特徴 |
---|---|---|
スキャルピング | 数十秒〜数分 | ・取引時間が最も短くリスクを管理できる ・売買の判断にスピードが求められる ・取引時間中は相場から目を離せない |
デイトレード | 数十分〜数時間 | ・一度の取引で大きな利益は狙えない ・1日で取引が完結するためリスク管理がしやすい ・1日数度の相場のチェックが必要 |
スイングトレード | 2~3日〜2~3週間 | ・相場を頻繁にチェックする必要がないため平日仕事がある人でも取引ができる ・取引回数は少ないがハイリスク ・ハイリターン ・ファンダメンタルズの影響を受けるため中長期での相場分析が必要 |
ポジショントレード | 数週間〜数ヶ月 | ・長期のトレンドを予想し一度の取引で大きな利益を狙う ・ファンダメンタルズの影響を受けるため中長期での相場分析が必要 |
スキャルピングは長くても数分程度のトレードを繰り返す超短期の取引が基本です。
デイトレードはスキャルピングよりも、若干長くポジションを持つことになりますが、基本的にデイトレード・スキャルピングは取引時間が短く、ポジションを翌日に持ち越さないことが基本です。
いずれの取引も、1回あたりの利益は小さくなりますが、短期の取引を繰り返して利益を積み重ねることを目指します。
これに対してスイングトレード・ポジショントレードは長期でポジションを持ち、取引回数は少なめでも、一回あたりの目標利益が大きく、ハイリスクハイリターンの取引スタイルとなっていきます。
ポジショントレードはスイングトレードに比べてより取引期間が長くなり、場合によっては1年を超えてポジションを持つこともあります。
このためポジショントレードはスイングトレードに比べてさらに資金効率が低く、FXトレードというよりはリスクが高めの外貨預金といったイメージになります。
それぞれの取引スタイルと比較した場合にスイングトレードは
- ハイリスクであるが一度の取引利益は大きく一攫千金が狙える
- 相場を頻繁にチェックする必要はなくサラリーマン向き
- ファンダメンタルズ(経済活動の状況を示す基礎的要因)を意識した相場予測が重要
などの特徴を上げることができます。
1-3.株のスイングトレードとは特徴が異なる
「スイングトレード」はFXだけでなく株取引でも行われる取引手法ですが、株取引におけるスイングトレードは「短期」の取引手法に分類されます。
取引期間は株の場合もFXの場合も2~3日から2~3週間という保有期間は変わりません。
ただし株取引の場合はFXに比べて短期で取引するトレーダーが圧倒的に少なく、長期保有のトレーダーが多数であることから、同じ期間でも株取引のスイングトレードは短期の取引手法になるというわけです。
株取引にデイトレードなどの短期の取引があまり行われない理由としては
- 取引時間が短い
- レバレッジを効かせられない
- 手数料が割高
などがあげられます。
特に大きな違いとしてあげられるのがレバレッジです。
株式トレードではレバレッジをかけた取引は一般的に行われていませんが、FXトレードの場合、レバレッジをかけることによって、国内FXでは最大で自己資金の25倍、海外FXなら1000倍を超える金額の取引ができます。
同じ100万円を使って投資をしても、株であれば100万円分の取引しかできませんが、25倍のレバレッジを聞かせれば、100万円を証拠金として2500万円までの取引ができるのです。
FXトレードはこのレバレッジによって資金効率がたいへん高くなるため短期取引で稼ぎやすく、多くのトレーダーがデイトレードやスキャルピングを行うことから、FXのスイングトレードは「中期」のトレードとなるというわけです。
また株式の場合は配当利益や業績による値上がりを狙って、数年から数十年にわたって同じ銘柄を持つケースもある点も、相対的に短期取引を行うトレーダーが少ない理由であると言えます。
2.FXのスイングトレードにおける5つのメリット
それではさらに、FXのスイングトレードの持つメリットについて、より詳しく確認していきましょう。FXのスイングトレードには、特に以下の5つの点で大きなメリットがあります。
一つずつ確認しましょう。
2-1.取引時間が十分になくてもトレードできる
FXのスイングトレードは取引時間が少なくて済むため、忙しくてなかなかFXトレードにかける時間がない人でも取引がしやすいという特徴があります。
短期で取引を行うスキャルピングやデイトレードは、基本的に取引中はチャートをチェックする必要があるため、取引の間、ずっと拘束されることになります。
このため、サラリーマンなど、毎日、働いている方には不向きな取引スタイルであると言えます。
これに対してスイングトレードは、ポジションを長期で持つことから取引の機会自体が少ないため、目標の価格や損切りの価格に達しない限り、1日1回程度チャートをチェックするだけで十分です。
毎日仕事で忙しく、なかなか取引時間を持てないというトレーダーの方には最適な取引スタイルであると言えるでしょう。
2-2.1回の取引で大きな利益を狙える
スイングトレードは長期でポジションを保有するため、トレードで狙える値幅は大きく、取引1回あたりの目標利益は、デイトレードやスキャルピングよりはるかに大きいという特徴があります。
デイトレードやスキャルピングの場合、1回の取引で生じる値幅は2〜30pips程度が一般的ですが、スキャルピングの場合、最大で300pips程度の値幅が目標になります。
1回のトレードにかける時間 | 平均トレード回数 | 1回の取引で目指す利幅 | |
---|---|---|---|
スキャルピング | 数秒から数分 | 1日あたり 数十〜数百回 |
2~3pips |
デイトレード | 数分から数時間 | 1日あたり 平均1~5回 |
20~30pips |
スイングトレード | 数日から数週間 | 1ヶ月あたり 平均1~5回 |
100~300pips |
取引1回あたりの儲けはデイトレードの10倍程度が目標とされており、1回の取引で一攫千金を狙いやすい取引スタイルであると言えるでしょう。
2-3.落ち着いて取引ができる
FXのスイングトレードはデイトレードやスキャルピングと違い、日を跨いでゆっくりと取引するため、落ち着いて値動きを確認し、余裕を持って取引を行うことができます。
1日で取引を終える短期売買の場合、売り時や買い時を数秒単位で見極める必要があります。
このため常にチャートを凝視し、取引中はずっと緊張した状態を保たなければいけません。
これに対してスイングトレードは、長期での値動きを予測して取引を行うため、秒単位で判断する繊細な取引タイミングの見極めは必要ありません。
わずかな価格変動に囚われる必要がないため、取引では常に焦らずに余裕を持って対応することが可能になります。
2-4.取引のコストが安い
スイングトレードはポジションを長期で持つことから取引回数が少ないため、取引にかかるコストを抑えることができます。
FXトレードの手数料は、取引ごとに手数料がかかるケースと、スプレッドにあらかじめ取引手数料が含まれるケースがありますが、基本的に取引毎に手数料が発生する状況は同じです。
つまり取引の回数に応じて手数料は増えていくわけです。そして取引の回数自体が少ないスイングトレードは取引手数料を低く抑えることができることになります。
つまり取引回数が少なく、一度の取引で大きく儲けることができるスイングトレードは手数料という観点から考えれば、とても効率的な取引手法であると言えるでしょう。
2-5.スワップポイントで利益が上がる
中期でポジションを維持するスイングトレードでは、「スワップポイント」による利益も期待することができます。
スワップポイントとは、取引する通貨ペアのそれぞれの国の金利の差によって発生する利益のことを言います。
FXトレードでは、通貨ペアのうち、売った通貨の金利を支払い、反対に買った通貨の金利をもらうことができます。
例えばドル円の取引でドルの金利が年利5%、円の金利が年利1%だったとしましょう。この状況で円を売ってドルを買うと、4%分の金利差が発生します。
この金利差がスワップポイントになります。
デイトレードやスキャルピングなど、その日のうちに売買を完了する取引ではこのスワップポイントを受け取ることはできません。
この点で、このスワップポイントはスイングトレードを行う上で、たいへん大きなメリットであると言えるでしょう。
3.FXのスイングトレードにおける5つのデメリット
ここまでスイングトレードのメリットについて詳しく確認しましたが、実際にスイングトレードを行う場合、この取引手法のデメリットについても正しく理解しておく必要があります。
特に以下の5つのデメリットについてはしっかりと把握しておくことをおすすめします。
一つずつ確認しましょう。
3-1.トレード回数が少なく資金効率が悪い
スイングトレードの欠点としてまず把握しておきたい特徴が、取引の回数が少なく資金効率があまりよくないということです。
資金効率とは、元々の資金を利用してどれだけ利益を上げられるか、その効率のことを言い、FXトレー、短時間で数多くの取引を重ねるスキャルピングやデイトレードの方が、資金効率が高くなります。
デイトレードでもスイングトレードでも、同じ規模の取引に必要な資金は変わりません。
ただし、例えば1ヶ月間取引を行う場合、スイングトレードでは2〜3回程度の取引になるケースでも、スキャルピングであれば数十〜数百回の取引が可能です。
同じ資金を、繰り返し何度も利用することができるスキャルピングやデイトレードに比べて、取引回数を稼げないスイングトレードは、相対的に取引総額が小さくなり、この点で資金効率が悪くなってしまうというわけです。
3-2.取引の損失が大きくなりやすい
スイングトレードは取引あたりの利益も大きいですが損失額も大きくなるリスクがあります。
基本的に中長期でポジションを持つスイングトレードは、期間に応じて価格変動の幅も大きくなるため、利益も出しやすい反面、損失も拡大する傾向にあります。
このためスイングトレードを行う場合は、損失の拡大を防ぐため、適切な損切り価格を設定し、これを厳密に守る必要があります。
3-3.レンジ相場で利益が出しにくい
スイングトレードは、一定の幅で価格が上下する「レンジ相場」では儲けにくいという特徴があります。
FXの相場の動きは大別すると上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場の3種類に分けることができます。
一定の上昇/下降を続ける相場を、それぞれ「上昇トレンド」「下降トレンド」、そして一定の幅で上下動を繰り返すのが「レンジ相場」です・
FXの相場の場合、およそ3割がトレンド相場、残りの7割がレンジ相場になると言われています。
レンジは相場全体に占める割合が高いものの、トレンド相場ほど大きな利幅が狙えないのが特徴です。
スイングトレードで儲けやすい相場は、相場が中長期で上昇、または下降トレンドにあるケースです。
レンジ相場の場合、価格がまた同じポイントに戻ってしまうため、長くポジションを持つスイングトレードとは相性が良くありません。
これに対して短期で利益を重ねるデイトレードやスキャルピングは、レンジ相場でも利益を出すことができます。
このため、状況に応じて取引スタイルを選ぶことも大切です。
3-4.マイナススワップで損失が生じる
スイングトレードではマイナススワップが生じるリスクについても知っておくべきでしょう。
2-5.スワップポイントで利益が上がるでは、スイングトレードのスワップポイントについて詳しく解説しましたが、このスワップポイントは利益を生む場合もある一方で、もちろん損失を生むケースもあるという点には注意が必要です。
買った通貨の金利が売った通貨の金利より低い場合、スワップポイントはマイナスになり、ポジションを持っているだけで損失が膨らみ続けることになります。これがマイナススワップです。
特にスイングトレードを行う場合、このマイナススワップが生じるかどうかについては常にチェックすることをおすすめします。
3-5.専業トレーダーになりたい人には向かない
スイングトレードは専業トレーダーや、専業トレーダーを目指している人にはあまりおすすめできません。
残念ながらスイングトレードは、取引に時間をかけることができる専業トレーダーが好む取引手法ではありません。
なぜなら着実に利益を上げることを考えた場合、取引時間の短いデイトレードやスキャルピングの方が安全で効率的だからです。
実際に億を超える利益を上げている専業トレーダーの多くがデイトレードやスキャルピングで利益を上げており、スイングトレードを自分の取引スタイルとする専業トレーダーはほとんど存在しないというのが現実です。
このため、これから専業トレーダーとなって稼ぎたいという方にもスイングトレーダーはおすすめできません。
専業トレーダーを目指すのであれば、デイトレードやスキャルピングの経験をできるだけ多く積んでおくべきだからです。
FXのスイングトレードは「取引時間を確保できない方の副業」として大きなメリットがありますが、残念ながら、プロのトレーダーだけで生計を立てたいという方が選ぶべき取引スタイルではないということです。
4.スイングトレードがおすすめな人・おすすめでない人
ここまで見てきたスイングトレードのメリット・デメリットを踏まえて、スイングトレードがおすすめの人やあまりおすすめできない人の特徴について確認しましょう。
スイングトレードがおすすめの人、おすすめでない人はそれぞれ以下のようなタイプになります。
それぞれ詳しく解説します。
4-1.おすすめな人4つのタイプ
ハイリスクハイリターン、またトレードにかける時間が少ないという特徴を持つスイングトレードは、特に以下のようなタイプの人には最適な取引手法は、以下に示す4つのタイプです。
- 副業としてFXトレードを行う人
- 一度の取引で大きく儲けたい人
- 長期保有に動じない強いメンタルを持つ人
- 世界の経済情勢に対して明るい人
一つずつ確認していきましょう。
◎副業としてFXトレードを行う人
スイングトレードは、サラリーマンの方など取引時間が十分に取れない人が副業としてFXトレードを行うには最適な取引手法と言えます。
中期でポジションを保持するスイングトレードは
・取引回数が少なくトレードに時間をかける必要がない
・常にチャートを確認する必要がない(1日1回程度の確認で十分)
という特徴を持ちます。このため他に仕事を抱えている兼業トレーダーでも問題なくトレードが可能です。
実際、FX取引だけを専業とするトレーダーは、FXトレーダーの中のほんの一握りです。つまりほとんどのトレーダーは何らかの仕事を持ち、その仕事をこなしながらFXトレードを行なっています。
取引時間に制約がある兼業トレーダーにとって、スイングトレードはとてもトレードしやすい取引スタイルであると言えます。
◎一度の取引で大きく儲けたい人
ハイリスク・ハイリターンのスイングトレードは、一度の取引で大きく儲けたい人に向いています。
2-2.一回の取引で大きな利益を狙えるでもお伝えした通り、スイングトレードはデイトレードやスキャルピングに比べて保有期間が長く、想定する値幅も保有期間に応じて大きく設定されます。
このため、1回の取引あたりの利益も必然的に大きくなります。
想定される1回あたりの利益はデイトレードの10倍、スキャルピングに対しては100倍にもなり、取引にかかる手間をかけずに大きく儲けたいという人には最適です。
◎長期保有に動じない強いメンタルを持つ人
長くポジションを保有するスキャルピングは長期保有に耐えられるだけの強いメンタルを持つ人に適しています。
為替相場は常に動いており、予想外の値動きによって大きな損失を被るリスクもあります。
このためFXトレードをする人は、日を跨いで取引をすると、就寝中の値動きが気になって眠れなくなる、という方も少なくありません。
このため日常的にポジションを保持し続けるスイングトレードを行うためには、この恐怖心に打ち勝つことができることが前提条件となるわけです。
◎世界の経済情勢に対して明るい人
中長期で為替相場を予想する必要があるスイングトレードは、世界の経済情勢について多くの知識を持ち、適切な分析ができる人には最適の取引手法であると言えます。
長い場合には数カ月にわたってポジションを保有し続けるスイングトレードの場合、ポジションを保有している間に経済指標発表や、金利の変動が日常的に起こります。
このため、常に経済ニュースにアンテナを張り、長期のファンタメンタルズ(経済活動の状況を示す基礎的要因)を意識している人には利益の上げやすい取引スタイルであると言えます。
4-2.おすすめでない人4つのタイプ
長くポジションを持ち、一度の取引で大きな利益を狙うスイングトレードは、特に以下のようなタイプの方にはおすすめできません。
- 専業トレーダーや専業トレーダーになりたい人
- 利益を積み重ねて着実に儲けたい人
- 長期間ポジションを持ちたくない人
- 十分な取引資金を用意できない人
一つずつ確認しましょう。
◎専業トレーダーや専業トレーダーになりたい人
FXのスイングトレードは専業トレーダーや専業トレーダーを目指している人には、あまりおすすめできません。
実際、FXトレードを専業にするトレーダーの多くは、ほとんどの場合、デイトレードやスキャルピングなど、短期で取引を終える取引スタイルを守っています。
もちろん専業トレーダーであっても、スイングトレードがデイトレードやスキャルピングよりも儲けられるのであれば、こぞってスイングトレードを行うはずです。
デイトレードやスキャルピングは、
・資金効率がよい
・リスクを限定して着実に利益を積み上げることができる
などの点で大きなメリットを持ち、この点でスイングトレードに対して大きなアドバンテージがあることは否めません。
また将来、専業トレーダーを目指している人も、スイングトレードはおすすめできません。
もしあなたが将来、FXトレードで生計を立てたいと思ったら、はじめのうちからスイングトレードではなく、デイトレードやスキャルピングの取引技術を磨くことをおすすめします。
◎利益を積み重ねて着実に儲けたい人
もしあなたが、少額てもできるだけ安定した利益を上げ、着実に儲けたいと考える場合、スイングトレードはあまりおすすめできません。
基本的にFXトレードは、ポジションの保有時間に比例してリスクとリターンは大きくなる傾向にあるため、ポジションを持つ時間が長くなるスイングトレードは、短期で取引を終えるデイトレードやスキャルピングよりもハイリスクハイリターンになります。
このため、少ない利益を重ねて、できるだけ安全かつ着実に資金を増やしたいという方には、適切な取引手法ではありません。
◎長期間ポジションを持ちたくない人
FXトレードで日を跨いで長期でポジションを持ちたくないという方は、スイングトレードは向きません。
為替市場には、突発的な事件などで大きく価格が変動することもあります。
長い場合は、数カ月にわたってポジションを維持するスイングトレードの場合、このような予期せぬ価格変動に巻き込まれる可能性も低くはありません。
このようなリスクを避けたい、という方はスイングトレードではなく、必ずその日のうちに取引を終えるデイトレードやスイングトレードを行うことをおすすめします。
◎十分な取引資金を用意できない人
スイングトレードは取引スタイルの特徴から、どうしても取引開始時点から、ある程度の資金を用意する必要があるため、これを用意できない方は、まず別の方法で取引資金を作ることをおすすめします。
取引回数が多く資金効率が高いデイトレードやスキャルピングなどの場合、手元資金が少なくても、少しずつ利益を重ねて取引資金を大きくすることができます。
しかしスイングトレードの場合、取引回数自体が少なく1回の取引時間も長いため、少額資金から取引を始めると、まとまった利益をあげるまで、たいへん長い時間を要することになります。
このため、スイングトレードを始める場合、最低でも10万円程度の資金を準備してトレードを始めることをおすすめします。
5.FXのスイングトレードで利益を上げるために知っておくべき5つのコツ
スイングトレードの成功率を高めるためには、特に以下に示す5つのコツを押さえておくことをおすすめします。
スイングトレードは中長期でポジションを持つため、その日のうちにトレードを終える短期取引とは異なるスタンスで取引にのぞむ必要性があります。これを踏まえた上で大切になるのが、この5つのコツです。
一つずつ解説しましょう。
5-1.メジャー通貨ペアを選ぶ
スイングトレードでできるだけ利益を上げたいのであれば、ドル・ユーロ・円を含むメジャー通貨ペアを選ぶことをおすすめします。
なぜならメジャー通貨はトレンド分析やファンダメンタルズ分析がたいへん重要であり、これらの分析が適切に機能するのがドル/円やユーロ/ドルなどのメジャー通貨ペアだからです。
メジャー通貨ペアは特に以下の点で、スイングトレードに向いているとされています。
- 政治が安定する先進国の通貨であるため価格変動のリスクが限定的
- 取引量が多いため値動きが安定しトレンドの見極めがしやすい
- 大国の通貨に関わる情報は入手しやすくファンダメンタルズ分析が手軽にできる
メジャー通貨は取引参入者が多く、これは多くのトレーダーが同じファンダメンタルズ分析を行い、また同じようにトレンド分析を行っていることを意味します。
為替市場では、多くのトレーダーが同じ値動きを予想すればするほど、予測結果が現実になりやすいという特徴があり、メジャー通貨ペアによるスイングトレードはこの点で大きなアドバンテージがあるのです。
5-2.ファンダメンタルズ(経済状況を示す基礎的要因)を意識する
ポジションを持つ期間が長ければ数週間から数カ月に及ぶスイングトレードでは、ファンダメンタルズの情報確認はぜひ行っておきたいところです。
ファンダメンタルズとは、日本語に訳すと「経済の基礎的な条件」となり、具体的には経済成長率や失業率、財政収支など、国の経済状況を示す指標のことを言います。
スイングトレードでは、ポジションの保有中にGDPや政策金利などの発表があり、相場が大きく変動するということも珍しいことではありません。
このため、ファンダメンタルズを分析し、指標発表後の相場がどう動くかを予想することは、スイングトレードを行う上では重要なファクターになるのです。
実際にファンダメンタルズを意識する際には、取引通貨のファンダメンタルズを確認することはもちろんですが、特にアメリカ経済のファンダメンタルズについては、ドルを取引していない場合も確認することをおすすめします。
これは、アメリカ経済の世界経済に及ぼす影響が大きく、あらゆる通貨取引に影響を及ぼすためです。
事前にファンダメンタルズを正しく意識し、市場分析を行っておくことで、トレードで利益を上げやすくなるのはもちろんのこと、相場が予想と逆に動いた場合も冷静に対処することができるようになります。
5-3.トレンドを見極める
スイングトレードでファンダメンタルズと合わせて重要になるのがトレンドの見極めです。
FXにおけるトレンドとは、文字通り「為替相場が持つ方向性」のことです。
為替相場の方向性と聞くと、複雑で難しいもののように思うかもしれませんが、3-3.レンジ相場で利益が出しにくいでも簡単に解説した通り、一見複雑そうに動いている為替レートも、場合分けすれば非常にシンプルで、トレンドは「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ相場」の3つしかありません。
そしてスイングトレードの取引では基本的に
- 上昇トレンドでは「買い」
- 下降トレンドでは「売り」
- レンジ相場では「様子見」
です。
そしてこのトレンドの見極めを行う上で大切になるのが「トレンドライン」です。
下の図は上昇、下降それぞれのトレンドラインを示しています。
上昇トレンドでは、変動するチャートの安値の部分を結んでトレンドラインを引きます。
下降トレンドでは反対にチャートの高値の部分を結びます。
このラインを見極め、相場のトレンドとファンダメンタルズ分析を組み合わせることで、より精度の高い相場予測が可能になります。
5-4.順張り取引を基本とする
スイングトレードの取引は「順張り」が基本です。
FXの売買の手法は大きく分けて順張りと逆張りの2つの方法があります。
順張りとは、相場の流れに逆らわずに価格の上昇局面(下落局面)でさらに上がる(下がる)ことを想定して売買を行う手法です。
これに対して逆張りは反対に相場の流れに逆行して上昇局面(下落局面)で相場が反転することを想定して売り買いを行います。
そしてトレンドを読み、その流れに乗ることで利益を上げることを目指すスイングトレードでは、相場の流れに逆らわないで取引する「順張り」との相性が良いのです。
もちろんトレンドがいつまでも上昇し続けたり下降し続けたりすることはありませんが、一般的に為替相場のトレンドは、数週間継続することが多く、このトレンドに従って順張りでトレードを行うことで、取引の利益が上がるのです。
5-5.逆指値注文で損切りを徹底する
スイングトレードを行う場合、取引開始時に「逆指値注文」を行い、あらかじめ損切りを徹底しておくことをおすすめします。
逆指値注文とは、相場が予想とは反対の方向に動いた時に、損切りの決済をあらかじめ注文する指値注文のことを言います。
ポジションを持った時点で、損切りの注文をあらかじめ入れておけば、損きりのタイミングを逸して損失が拡大するということはありません。
実はスイングトレードの損失の原因で最も多いのがこの損切りの失敗なのです。
スイングトレードの場合、チャートを頻繁に見る必要はないのですが、うっかり数日チャートを見忘れたり、ポジションを持っていることをうっかり失念してしまうなどということも、実は少なくないのです。
このような場合に備えて、念の為「逆指値注文」を入れておくだけで、このような取引のミスを減らし、取引による損失の拡大を防ぐことができるというわけです。
まとめ
今回はFXのスイングトレードについて詳しく解説しました。
FXにおけるスイングトレードとは、FXにおける取引手法の一つで2~3日間から2~3週間程度を目処にポジションを維持する取引スタイルのことを言います。
スイングトレードは基本的にFX取引としては「中期」でポジションを持ち、一回の取引で大きな利益を狙う取引手法であると言えます。
FXのスイングトレードには以下に示す5つのメリットがあります。
- 取引時間が十分になくてもトレードできる
- 1回の取引で大きな利益を狙える
- 落ち着いて取引ができる
- 取引のコストが安い
- スワップポイントで利益が上がる
またFXのスイングトレードを行う場合、以下に示す5つのデメリットについても合わせて把握しておくことをおすすめします。
- トレード回数が少なく資金効率が悪い
- 取引の損失が大きくなりやすい
- レンジ相場で利益が出しにくい
- マイナススワップで損失が生じる
- 専業トレーダーになりたい人には向かない
これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、FXのスイングトレードがおすすめな人、おすすめでない人の特徴は以下のようになります。
おすすめな人
- 副業としてFXトレードを行う人
- 一度の取引で大きく儲けたい人
- 長期保有に動じない強いメンタルを持つ人
- 世界の経済情勢に対して明るい人
おすすめでない人
- 専業トレーダーや専業トレーダーになりたい人
- 利益を積み重ねて着実に儲けたい人
- 長期間ポジションを持ちたくない人
- 十分な取引資金を用意できない人
最後の章では、FXのスイングトレードで利益を上げるために知っておくべき5つのコツとして、以下の5つについて詳しく解説しました。
- メジャー通貨ペアを選ぶ
- ファンダメンタルズ(経済状況を示す基礎的要因)を意識する
- トレンドを見極める
- 順張り取引を基本とする
- 逆指値注文で損切りを徹底する
FXのスイングトレードは、特にサラリーマンなど、取引時間を十分に確保できない兼業トレーダーに最適な取引手法です。
FXでは自分の取引のスタイルに合わせて、最適な取引手法を選ぶことをおすすめします。