FX取引を始める上で「レバレッジ」と「ロット」はとても重要なキーワードとなります。FX取引で継続的に勝ち続けたいと思うならば、「なんとなく意味は分かる」程度の理解ではなく、しっかりと本質を理解した上で取引することが必須です。
レバレッジ・ロットとは?簡単に言うと…
◆レバレッジ=担保となる保証金(=証拠金)の何倍もの金額で取引できる仕組み
◆ロット=FXの取引通貨量を示す単位
レバレッジとロットには以下のような関係がある
◆レバレッジを増やすと、取引ロットを大きくできる
◆レバレッジを増やすと、必要証拠金を抑えられる
◆レバレッジは、ロット数と有効証拠金で決まる
この記事では、「レバレッジ」「ロット」のそれぞれの言葉を理解するとともに、どのような相関関係があるのか、レバレッジはどのように決まるのかを詳しく解説します。また、「どのくらいのロットを持てばいいのか」など実践的な内容まで踏み込んで解説していきます。
本格的にFXを始めたい方はぜひ最後までじっくりお読みください。
目次
1. FXのレバレッジとロットを正しく理解しよう
まずは、レバレッジとロット、それぞれの意味をしっかり理解していきましょう。
1-1. レバレッジとは
FX取引における「レバレッジ」とは、担保となる保証金(=証拠金)の何倍もの金額で取引できる仕組みのことです。例えばレバレッジ25倍なら、動かせるお金が100万円しか無くても、その25倍の2,500万円もの金額を取引するのと同じ成果が得られる仕組みです。
そもそも「レバレッジ(leverage)」とは英語で「てこの力、てこの原理」を意味しており、小さな力で大きなものを動かすことを意味します。
レバレッジを利用すれば、手持ちの資金が少なくても大きな取引が可能となり、トレーダーにとって嬉しい仕組みです。
1-2. ロットとは
一方、FX取引における「ロット(Lot)」とは、取引通貨量を示す単位のことです。「どのくらい取引するか」を示す単位だと考えて問題ありません。「1ロットのポジションを持つ」などのように使います。
国内FX会社の多くは「1ロット=1万通貨」が一般的ですが、海外FX会社は「1ロット=10万通貨」としているブローカーが多いため、単位の違いに注意しましょう。
例えば、米ドルが1ドル100円の時、1ロットのポジションを持つためには、国内FX会社では、100円×1万通貨=100万円の資金が必要となります。
一方、海外FX会社で同じポジションを持つためには、1,000万円の資金が必要となります。ただし、海外FXでは1000倍や2000倍などのレバレッジ取引が可能です。例えばレバレッジ1000倍なら、1万円の証拠金で同じポジションを持てます。ハイレバレッジ取引では、資金を抑えて効率的に取引することが可能となります。
ただし、国内FXでも海外FXでも、FX会社によっては「1ロット=1万通貨」または「1ロット=10万通貨」以外の単位を設定しているブローカーもあります。また、取引口座の種類によって1ロットの単位が異なることも多くあります。
取引する際には、手元資金とのバランスを見ながら、何ロット取引するか、レバレッジが何倍になるかしっかり確認しながら取引するようにしましょう。
2. レバレッジとロットには相関関係がある
レバレッジとロットはそれぞれ全く違うことを指す言葉ですが、この2つには相関関係があり、切っても切り離せない関係です。どのように関係してくるかしっかりと理解し、FX取引する上での参考にしてください。
2-1. レバレッジ・ロット・必要証拠金は連動している
先ほど説明した通り、レバレッジは、手持ちの資金の何倍もの取引を可能とする仕組みです。レバレッジが大きければ大きいほど、資金(=必要証拠金)が少なくても取引することができます。
※必要証拠金とは、取引を行うために必要となる「担保となる現金」のことです。あらかじめFX口座に入金しておく必要があります。
必要証拠金 = 為替レート × ロット数 ÷ レバレッジ
例:1ドル100円の時に0.1ロット(1万通貨)の取引をする場合
◆レバレッジ無しなら➡必要証拠金=100円×1万通貨÷1=100万円
◆レバレッジ25倍なら➡必要証拠金=100円×1万通貨÷25=4万円
◆レバレッジ100倍なら➡必要証拠金=100円×1万通貨÷100=1万円
大きなロットを持ちたければ必要証拠金が多く必要になりますが、レバレッジが大きければそれを抑えることができます。また、同じロットを持ちたい場合に、レバレッジが大きければ証拠金を抑えることができます。以下に詳しく説明していきます。
2-2. レバレッジを増やすと取引ロットを大きくできる
レバレッジを大きくすればするほど、取引できるロット数が大きくなります。以下に、レバレッジ倍率別で取引できるロット数の表をまとめました。
レバレッジ倍率 | 証拠金1万円で取引できるロット数 | 証拠金10万円で取引できるロット数 | 証拠金50万円で取引できるロット数 |
---|---|---|---|
なし(1倍) | 0.01ロット | 0.1ロット | 0.5ロット |
5倍 | 0.05ロット | 0.5ロット | 2.5ロット |
10倍 | 0.1ロット | 1ロット | 5ロット |
25倍 | 0.25ロット | 2.5ロット | 12.5ロット |
50倍 | 0.5ロット | 5ロット | 25ロット |
100倍 | 1ロット | 10ロット | 50ロット |
200倍 | 2ロット | 20ロット | 100ロット |
500倍 | 5ロット | 50ロット | 250ロット |
1000倍 | 8.88ロット | 88.8ロット | 444ロット |
1000倍 | 10ロット | 100ロット | 500ロット |
2000倍 | 20ロット | 200ロット | 1,000ロット |
※ここでは条件を等しくするため、1ドル=100円、1ロット=1万通貨の場合で比較しています。本来は海外FX業者では「1ロット=10万通貨」とするブローカーが多いのでご注意ください。
同じ証拠金1万円でも、国内FXでは最大でもレバレッジ25倍なので0.25ロットの取引しかできませんが、海外FX業者だと5ロットや20ロットなどかなり大きな取引ができることが分かります。
2-3. レバレッジを増やすと必要証拠金を抑えられる
同じロット数の取引を考えた時に、レバレッジが大きいほど必要証拠金を抑えることができます。
例えば、米ドルを1ロット(ここでは1ロット=1万通貨)取引する場合の必要証拠金の金額を、レバレッジ倍率ごとに比較した表が以下です。
レバレッジ | 1ロット(1万通貨)取引する場合の必要証拠金の金額 | |
---|---|---|
国内FX | なし(1倍) | 100万円 |
10倍 | 10万円 | |
25倍 | 4万円 | |
海外FX | 100倍 | 1万円 |
500倍 | 2,000円 | |
1000倍 | 1,000円 |
※1ドル=100円の場合。
※ここでは条件を等しくするため、1ロット=1万通貨の場合で比較しています。本来は海外FX業者では「1ロット=10万通貨」とするブローカーが多いのでご注意ください。
このように、同じ1万通貨の取引をするのに、レバレッジ倍率によって必要証拠金の金額がかなり違ってきます。レバレッジをかけずに取引しようとすると100万円の証拠金が必要ですが、レバレッジ1000倍なら千円で済みます。
2-4. レバレッジはロット数と有効証拠金で決まる
FX初心者の方が疑問に思う質問に「レバレッジはどうやって設定するの?」というものがあります。
しかし、実際にはレバレッジは自分で設定するものではありません。買いたいロット数と有効証拠金(口座残高など)によって自動的に決まるものです。自動的に決まったレバレッジを「実効レバレッジ」といいます。
ただし、取引する場合に必ず実効レバレッジがどのくらいになるか確認し、事前に想定した範囲に収まるよう取引数量を調節するようにしましょう。
次の3章で、改めて実効レバレッジの計算方法を詳しく解説していきます。
3. 実効レバレッジの計算方法
FX初心者の方の中には、FX取引をする際に「ドル円1ロットをレバレッジ◯倍で」と設定して取引するイメージがある方もいるかも知れません。しかし、実際にはレバレッジを設定するのではなく、レバレッジは自動的に決まります。
その時に決まるレバレッジを特に「実効レバレッジ」といいます。実効レバレッジの計算式は、以下のようになります。
実効レバレッジ = 為替レート × ロット数 ÷ 有効証拠金
実効レバレッジがどのように決まるか具体的にイメージするために、国内FXと海外FXに分けて計算例をいくつか紹介していきます。
3-1. 実効レバレッジの決まり方(国内FXの場合)
国内FX会社で、1ドル100円の時にドル円を1ロット(1万通貨)取引したい場合、有効証拠金(口座残高)が10万円ならば、実効レバレッジは10倍となります。
計算式 |
---|
実効レバレッジ=100円×1万通貨÷10万円=10倍 |
同様の条件で、取引数量を1ロットから2ロット(2万通貨)に増やすと、レバレッジ倍率は20倍となります。
計算式 |
---|
実効レバレッジ=100円×2万通貨÷10万円=20倍 |
国内FXの場合、かけられるレバレッジ倍率は最大25倍までと法律で決められています。そのため、このケースでは取引数量を3ロットに増やすことはできません。3ロット取引したい場合は、口座に追加で入金をして有効証拠金を増やす必要があります。
3-2. 実効レバレッジの決まり方(海外FXの場合)
海外FXで、1ドル100円の時にドル円を「0.1ロット※」(1万通貨)取引したい場合、有効証拠金(口座残高)が10万円ならば、実効レバレッジは10倍となります。
※国内FXでは1ロット=1万通貨、海外FXでは1ロット=10万通貨が主流のため、1万通貨=0.1ロットとしています。
計算式 |
---|
実効レバレッジ=100円×1万通貨÷10万円=10倍 |
同様の条件で、取引数量を0.1ロットから0.2ロット(2万通貨)に増やすと、レバレッジ倍率は20倍となります。
計算式 |
---|
実効レバレッジ=100円×2万通貨÷10万円=20倍 |
国内FXの場合はレバレッジ倍率は最大25倍までですが、海外FXなら最大1000倍や2000倍など、さらにハイレバレッジの取引が可能となります。
同様の条件で、取引数量を0.5ロット(5万通貨)に増やすと、レバレッジ倍率は50倍となります。
計算式 |
---|
実効レバレッジ=100円×5万通貨÷10万円=50倍 |
さらに、取引数量を5ロット(50万通貨)に増やすと、レバレッジ倍率は500倍となります。
計算式 |
---|
実効レバレッジ=100円×50万通貨÷10万円=500倍 |
4. 国内と海外ではレバレッジ倍率に大きな差がある
ここまでお読みいただいた方は、国内FXと海外FXではレバレッジ倍率にかなり大きな差があることにお気づきでしょう。
国内FXでは、残念ながら最大でも25倍までのレバレッジしかかけられません。法律で決められているので、どのFX会社を選んでも、25倍を上回るレバレッジをかけることはできません。
一方で、海外FXでは、最大1000倍や2000倍、3000倍、無制限など、かなり高倍率のレバレッジをかけることが可能です。
国内FXの最大レバレッジ | 海外FXの最大レバレッジ | ||
---|---|---|---|
外為オンライン | 25倍 | Exness | 無制限 |
DMM FX | 25倍 | GEMFOREX(限定) | 5000倍 |
YJFX! | 25倍 | FBS | 3000倍 |
FXネオ | 25倍 | TradersTrust | 3000倍 |
FXブロードネット | 25倍 | GEMFOREX | 1000倍 |
SBI FXトレード | 25倍 | XM | 1000倍 |
最大レバレッジが高い海外FX業者については、「最大レバレッジが高い海外FXおすすめランキング!35口座を徹底比較」の記事もお読みください。
レバレッジが高いほど必要証拠金(口座残高)を低く抑えることができたり、取引数量を多くできたりするメリットがあります。国内FXのレバレッジ25倍では物足りなさを感じている方は、海外FXデビューを検討する時期かもしれません。
\海外FXのおすすめ業者比較ランキングはこちら/
おすすめ海外FX業者の比較ランキングTOP105. 適切なロット数はどのくらい?目安を解説
ここまで解説した通り、FX取引する上でもっとも大切なのはレバレッジの大きさではなく「どのくらいのロットを持つか」です。それでは、「実際にどのくらいのロットを持てば良いのか」目安を知りたい方も多いのではないでしょうか。
ここでは、FX初心者の方の目安と、中上級者向けの目安をそれぞれ分けて解説していきます。
5-1. FX初心者は1000通貨が目安
FXをこれから始めるという初心者の方は、まずは1000通貨を目安にスタートしてみることをおすすめします。
国内FXと海外FXではロットの単位が異なるため、以下を目安にしてください。
国内FXの場合 | 海外FXの場合 |
---|---|
1000通貨(0.1ロット) | 1000通貨(0.01ロット) |
※国内FXの場合は1ロット=1万通貨、海外FX=10万通貨が主流ですが、FX会社や口座の種類によって単位が異なる場合もあります。何ロットかよりも「何通貨の取引をするか」に気を付けて取引すると間違いありません。
初心者に1000通貨の取引をおすすめする理由は、損失を出した場合のリスクを抑えられるからです。
ドル円1000通貨の取引なら、国内FX(レバレッジ25倍)でも4,000円、海外FX(レバレッジ1000倍)ならたった100円という少額から取引を始めることが可能です(※1ドル100円換算)。
まずは1000通貨単位で取引を重ねて、FXの経験を積んでからロット数を増やしていくようにしましょう。
5-2. 中上級者は資金の2%のロット数が目安
FX取引に慣れてきた中上級者の方については、適切なロット数はこのくらいという正解はありません。トレーダーの取引の仕方もそれぞれですし、勝ちやすいパターンも人それぞれだからです。
ただし、ロット数を持ちすぎることは、やはり危険な行為になります。1回のトレードでどのくらい失っても許容できるかを目安にロット数を決めておくと安全です。
このように考えると、ロット数の目安としては、資金の2%が目安となるでしょう。
例えば、資金が100万円だった場合、2%にあたる2万円で取引できるロット数が目安となります。これだったら、1回の取引で負けて2万円無くなっても、残りの98万円でまた取引できます。
FXに投入できる資金がどのくらいの金額あるかまず確認して、その2%を目安にポジションを持つようにしましょう。
まとめ
この記事では、レバレッジとロットのそれぞれの意味や、2つの言葉の相関関係、レバレッジの決まり方などを詳しく解説してきました。まだFX取引をしたことが無い初心者の方でも、だいたいのイメージを描くことができたのではないでしょうか。
実際にどのくらいのロット数を持つか、どのくらいの実効レバレッジで取引するかは、トレーダーの取引スタイルによって変わってきます。しかし、事前に最低限、ロット数の上限目安を決めておくことで、リスクを最低限に抑えて取引することができます。
今回の記事を参考にして、ロット数の目安を決めて、まずは1000単位からFX取引をスタートしてみてはいかがでしょうか。
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