ECN口座とは、トレーダーの注文が直接インターバンク市場(電子取引所)に流れて自動的に売買がマッチングする仕組みを採用している口座のことです。
もう少し詳しく説明すると、ECN口座はFX業者が事務的な手続きのみを担いトレーダーの注文が直接インターバンク市場に流れます。そのため、透明性が高くタイムラグの少ない取引が実現します。
しかし、ECN口座には最低入金額や取引通貨量が高く設定されているなどのデメリットもあり、どのような口座なのかしっかりと把握したうえで自分に合っているのか検討する必要があります。
そこでこの記事では、ECN口座の概要やSTP口座の違い、そしてECN口座を選ぶべき人まで徹底解説していきます。
- ECN口座とは
- ECN口座の3つの特徴
- ECN口座のメリットとデメリット
- STP口座との違い
- ECN口座を選ぶべき人の特徴
- ECN口座の開設ができるおすすめの海外FX業者5選
この記事を最後まで読めばECN口座とはどのようなものか把握でき、自分の取引方法に合っているか判断できるようになります。
海外FXの口座は取引コストやスピードを左右するポイントとなるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.ECN口座とは
冒頭でも触れたように、ECN口座とはECN方式での取引ができる口座のことです。ECNとは「Electronic Communications Network」の頭文字を取ったもので、電子取引所取引と訳します。この訳からも分かるように、ECN方式はトレーダーの注文が直接インターバンク市場(電子取引所)に流れて自動的に売買がマッチングする仕組みとなっています。
もう少し詳しく説明するとFX業者が事務的な手続きのみを担い、トレーダーの注文が直接インターバンク市場に反映されます。
例えば、トレーダーが200円で買い注文を出したしましょう。インターバンク市場では
・195円で売り注文
・199円で売り注文
という2つの売り注文が出ていたとします。この場合はFX業者のディーラーを介在することなく、自動的に双方が得をする199円でマッチングをします。
透明度が高くスピード感のある取引ができるところが、ECN口座の大きなメリットです。では、ECN口座にはどのような特徴があるのか次の章で具体的に解説していきます。
2.ECN口座の3つの特徴
ECN口座には
・約定スピードが速い
・約定拒否が起こらない
・FX業者に対する手数料が発生する
という3つの特徴があります。この特徴こそが他の方式と大きく異なる部分なので、ぜひチェックしておきましょう。
2-1.約定スピードが速い
ECN口座は、他の方式よりも約定スピードが速いところが特徴です。約定スピードとは、FXの注文をしてから実際に約定するまでのタイムラグを指します。海外FXのレートは常に変動しており、とくに値動きが激しいときは僅かなタイムログが大きなレート差を生むことになります。
このレート差は有利に働くこともありますが、買い注文時には90円だったのに約定時には150円になってしまうといったように不利に働くこともあります。注文時のレートと約定時のレートの差はEX取引においてリスクとなるので、ないに越したことはありません。
ECN口座は
・トレーダーの注文が直接インターバンク市場に反映される
・FX業者を介在しないのでタイムロスが起こりにくい
という面から約定スピードが速く、タイムログによって起こるリスクを回避できるところが特徴です。
2-2.約定拒否が起こらない
約定拒否(リジェクト)とは、トレーダーが約定をしたくてもFX業者が拒否することを指します。
約定拒否は
・レートが大きく変動しているとき
・大口注文の売買をするとき
に起こりやすく、FX業者にとって大きな損失が出るのを防ぐ効果があります。約定拒否をされてしまうと狙ったタイミングで約定ができず、機会損失につながります。
ECN口座ではインターバンク市場に集まったあらゆる価格の注文の中から自動的にマッチングするので、約定拒否が起こりません。取引にFX業者が介在することもなく意図的な約定操作ができないので、透明度の高い取引ができます。
2-3.業者に対する手数料が発生する
ECN口座ではトレーダーの注文が直接インターバンク市場に流れるため、スプレッドにFX業者の利益が上乗せされることがありません。そのため、スプレッドはかなり狭く設定されています。
では、FX業者はどこで利益を得るのかというと、トレーダーの注文をインターバンク市場に流す取引手数料です。
他の方式では取引手数料が無料であることが多いですが、この場合はスプレッドが広く設定されておりFX業者の利益が充分回収できるので、取引手数料が必要ないのです。
取引コスト=スプレッド+取引手数料
ECN口座に限っては、取引にかかるコストは取引手数料を加えて想定する必要があります。
3.ECN口座の4つのメリット
ECN口座のメリットとしては
・取引の透明性が高い
・板情報を見て同行を予測できる
・スピード感のある取引ができる
・スプレッドが狭く取引コストが抑えられる
という4つがあります。海外FXの取引をするうえで、どのような点がメリットとなるのかチェックしてみましょう。
3-1.取引の透明性が高い
ECN口座は取引自体にFX業者が介在しないため、取引の透明性が極めて高いところがメリットです。ECN口座でのFX業者の役割は、トレーダーの注文をインターバンク市場に流すことです。実際の取引に関与することがないので、FX業者の裁量により約定拒否が起こりません。
また、先ほども解説したように、ECN口座はトレーダーの損益がFX業者の利益に直結しない側面があります。取引手数料がFX業者の主な収益となるので、トレーダーが収益を上げて取引を継続してくれたほうがプラスとなるのです。
そのため不自然なスプレッド拡大や値動きの操作も起こりにくく、透明性が高く信頼のおける取引ができます。
3-2.板情報を見て動向を予測できる
ECN口座では、板情報を見て動向の予測ができます。板情報とは、価格帯ごとの売買注文が把握できるものです。
中央の値段を挟み、売り注文と買い注文がどれくらいあるのか価格ごとに表示されます。(板情報のレイアウトや更新頻度は、FX業者により異なります)下記の場合は、110.95ドルや110.90ドルなど赤色に塗られている部分で売り注文が多いことが分かります。
参考:外為どっとコム
板情報をチェックし続けることで
・今後どのように買い注文や売り注文が推移していくのか
・どの価格で反発する可能性があるのか
・注文数が多いタイミングはいつか
などの予測が立てられるようになり、海外FXの取引に活用できます。時間差がある場合もあるので板情報が必ずしもリアルタイムな情報を表しているとは限りませんが、少なくても現状を把握し予測をする一つの指標にはなるはずです。
後ほどご紹介するSTP口座では板情報の公開はないので、ECN口座ならではのメリットだと言えるでしょう。
3-3.スピード感のある取引ができる
海外FXのレートは常に変動しており、僅かなタイムログが損益を大きく左右する場合があります。そのため、スピード重視で取引をしたいと考えている人も多いでしょう。
先ほども解説したようにECN口座はトレーダーの注文が直接インターバンク市場に反映されるので、約定スピードが速くタイムラグによるリスクを回避できます。
・スキャルピングをしたい人
・大口の取引をしたい人
など、数秒の約定の差が利益を大きく左右する取引をするときにはメリットを感じやすいでしょう。
3-4.スプレッドが狭く取引コストが抑えられる
海外FX取引を頻繫に実施したいときに、気になるのは取引にかかるコストです。「2-3.業者に対する手数料が発生する」でも解説したように、ECN口座では取引手数料が発生します。
その代わりにスプレッドが狭いことが多く、取引手数料とスプレッドを足しても他の方式より取引コストが抑えられます。
下記は、「7.ECN口座開設におすすめの業者5選」でご紹介するECN口座のスプレッドと取引手数料です。取引手数料を加味しても、取引にかかるコストが低いことが分かるでしょう。
取引手数料 | 取引手数料を加味した平均スプレッド | |
---|---|---|
TitanFX「ブレード口座」 | 0.7pips | USD/JPY:1.05pips~ |
AXIORY「ナノ・スプレッド口座」 | 0.6pips | USD/JPY:1.0pips~ |
XM Trading「XM Zero口座」 | 1.0pips | USD/JPY:1.1pips~ |
TradeView「ILC口座」 | 0.5pips | USD/JPY:0.6pips~ |
GEMFOREX「ノースプレッド口座」 | 無料 | USD/JPY:0.3pips~ |
これだけでは分かりにくいので、AXIORYの「ナノ・スプレッド口座(ECN口座)」と「スタンダード口座(STP口座)」の取引コストを比較してみます。すると、ECN口座である「ナノ・スプレッド口座」のほうが3割程度コストダウンができていることが一目瞭然です。
スプレッド比較 | ||
---|---|---|
ナノ・スプレッド口座(レバレッジ+取引手数料) | スタンダード口座 | |
USD/JPY ドル/円 |
1.0pips | 1.4pips |
EUR/JPY ユーロ/ドル |
1.2pips | 1.6pips |
GBP/JPY ポンド/ドル |
1.9pips | 2.3pips |
AUD/JPY 豪/円 |
1.4pips | 2.0pips |
参考:AXIORY
USD/JPYで見てみると、スタンダード口座では1.4pipsなのに対し、ナノ・スプレッド口座では取引手数料を加えても1.0pipsです。このように、ECN口座なら手数料とスプレッドを足してもコストを抑えて海外FX取引ができます。
4.ECN口座のデメリット
ECN口座のメリットが把握できたところで、気になるのはデメリットです。ECN口座のデメリットとしてはどのようなことが考えられるのか、2つご紹介します。
4-1.最低入金額が取引通貨量が高く設定されている場合がある
ECN口座は、最低入金額や最小取引通貨量が高く設定されている場合があります。「7.ECN口座開設におすすめの業者5選」で紹介するECN口を例に見てみると、最低入金額や最小取引通貨量は下記のようになります。
最低入金額 | 最小取引通貨量 | |
---|---|---|
TitanFX「ブレード口座」 | 200USD相当額 | 1,000通貨 |
AXIORY「ナノ・スプレッド口座」 | 200USD相当額 | 1,000通貨 |
XM Trading「XM Zero口座」 | 100USD相当額 | 1,000通貨 |
TradeView「ILC口座」 | 100USD相当額 | 10,000通貨 |
GEMFOREX「ノースプレッド口座」 | 3,000USD相当 | 1,000通貨 |
例えば、TitanFXの「ブレード口座」で取引を開始する場合、最低入金額としては200USD相当(約20,000円)が必要です。また、最小取引通貨量は1,000通貨なので約10万からの取引しかできません。(1ドル=100と想定した場合:1,000ドル×100円=10万円)
つまり、あらかじめまとまったお金を持っていないと、ECN口座では海外FX取引ができないことになります。中には最小取引通貨量が10,000通貨となっている業者もあるので、まずは少額から海外FXを始めてみたいという人が利用しにくいところがデメリットです。
4-2.レバレッジが制限されている場合がある
ECN口座の場合は、レバレッジに制限がかかっていることがあります。例えば、XM Tradingを見てみるとECN口座であるZero口座は、レバレッジが500倍までとなっています。
スタンダード口座 | Zero口座(ECN口座) | |
---|---|---|
XM Trading | 1000倍 | 500倍 |
国内FXのレバレッジ上限である25倍(個人向け)に比べれば高いですが、それでも制限がされていると思ったより融通が利かないかもしれません。
ECN口座でレバレッジ制限が行われる主な理由は、リスク回避のためです。先ほども解説したようにECN口座は最小取引通貨量が高く設定されている場合が多く、高額運用するトレーダーが増える傾向があります。
レバレッジを高く設定するとハイリスクハイリターンとなってしまうので、ある程度で制限し損失を抑えるようにしているのです。レバレッジによるハイリターンを期待している場合は、最大源に活用できない可能性があるところがデメリットだと言えるでしょう。
5.STP口座との違いを解説
ECN口座と同時に検討することが多いのは、STP口座です。ECN口座もSTP口座も同じNDD(ノーディーリングデスク)方式の中での仕組みなので、NDD方式のFX業者を選んだ場合にはどちらの口座を選択するべきか迷うところでしょう。
そこでここでは、STP口座との違いを
・STP口座とは
・STP口座のメリットとデメリット
・STP口座とECN口座の違い
に分けて徹底解説していきます。
NDD方式について詳しく知りたい場合は、「FXのNDD方式とは?NDD採用の国内・海外業者一覧も紹介」を参考にしてみてください。
5-1.STP口座とは
STP口座とは、STP方式の取引ができる口座のことです。STP(Straight Through Processing)とは、トレーダーの注文を受けてFX業者が金融機関とマッチングさせる仕組みです。
例えばトレーダーが110円で買い注文を出した場合、FX業者は金融機関などのリクイディティプロバイダーからレートを受け取ります。FX業者はその価格にスプレッドを上乗せして、トレーダーにレートを提示します。
取引にFX業者が関与していますがFX業者のディーラーの意志は反映されず、適正なレートをカバー先の金融機関から自動的に選ぶので双方にとってベストな形でマッチングをしているところが特徴です。
ここまでの概要でお気付きかと思いますが、ECN口座との大き違いはFX業者を経由し金融機関とマッチングするところです。FX業者に意思決定権はないとは言え、FX業者を経由することで
・約定拒否や操作などの可能性が少なからず出てくる
・スプレッドが高くなる
というデメリットがあります。
一方で、ECN口座よりも取引通貨量や最低入金額が低く設定されているなどECN口座のデメリットをカバーしているところもSTP口座の大きなポイントです。次の章では、STP口座について詳しく解説していきます。
5-1.STP口座のメリット
STP口座ならではのメリットとしては
・レバレッジが高く設定されている
・最小取引通貨量や最低入金額が低く設定されている場合がある
・取引手数料がかからない
という3つがあります。ECN口座と比較しながら、どのようなところがメリットとなるのか、チェックしてみましょう。
5-1-1.レバレッジが高く設定されている
STP口座はECN口座よりも、レバレッジが高いところがメリットです。先ほどもご紹介したXM Tradingを例に見てみると、ECN口座であるZero口座は500倍、STP口座であるスタンダード口座は1000倍までとなっています。
スタンダード口座(STP口座) | Zero口座(ECN口座) | |
---|---|---|
XM Trading | 1000倍 | 500倍 |
レバレッジが大きくなればなるほど、少ない証拠金でハイリターンが望めます。当然リスクも高くなりますが、効率的にリターンを狙えるようになるでしょう。
レバレッジを使い短期間で大きな収益を得たい人にとっては、ECN口座よりもSTP口座のほうがメリットを感じられるかもしれません。
5-1-2.最小取引通貨量や最低入金額が低く設定されている場合がある
STP口座はECN口座よりも、最小取引通貨量や最低入金額が低く設定されている場合があります。
例えば、GEMFOREXのSTP口座の「オールインワン口座」とECN口座の「ノースプレッド口座」では、最低入金額に大きな差があることが分かります。
最低入金額 | 最小取引通貨量 | |
---|---|---|
GEMFOREX「ノースプレッド口座」 | 3,000USD相当 | 1,000通貨 |
GEMFOREX「オールインワン口座」 | 1USD相当 | 1,000通貨 |
「オールインワン口座」は最低入金額が1USD程度なので、1ドル=100円の場合は約100円から口座開設が可能です。逆に、「ノースプレッド口座」は3,000USD相当なので、約30万円ないと口座開設ができません。もちろんすべてのSTP口座が対応しているわけではないですが、GEMFOREXのようにECN口座とSTP口座で差がある場合もあります。
最低入金額や最小取引通貨量が低く海外FXを始めるときのハードルを下げられるのは、STP口座ならではのメリットだと言えるでしょう。
5-1-3.取引手数料が無料
ECN口座は取引手数料によってFX業者が利益を得ていましたが、STP口座の場合は金融機関が提示したレートにスプレッドを上乗せすることで利益を得ます。
そのため、取引手数料自体が設けられていません。取引コストを考えるときは、スプレッドのみに着目することでどれくらいのコストがかかるのか把握できます。
取引手数料が無料だとECN口座よりも低コストで運用できそうな気がしますが、実際にはスプレッドが広いのでECN口座よりも取引コストがかかる場合がほとんどです。
ここでは取引手数料がかからないというメリットだけ把握し、スプレッドが広いデメリットを詳しく解説していきます。
5-2.STP口座のデメリット
STP口座のデメリットとしては
・スプレッドがやや広い
・板情報が見られない
という2つがあります。口座選びで失敗しないためにも、どのような点でデメリットとなるのかぜひ把握してみてください。
5-2-1.スプレッドがやや広い
STP口座はECN口座のように取引手数料を設けているわけではないので、スプレッドがやや広めになります。
先ほど確認したAXIORYの「ナノ・スプレッド口座(ECN口座)」と「スタンダード口座(STP口座)」の取引コストを改めて見てみると、STP口座である「スタンダード口座」のほうがスプレッドが広く、取引コストがかかることが分かります。
スプレッド比較 | ||
---|---|---|
ナノ・スプレッド口座(レバレッジ+取引手数料) | スタンダード口座 | |
USD/JPY ドル/円 |
1.0pips | 1.4pips |
EUR/JPY ユーロ/ドル |
1.2pips | 1.6pips |
GBP/JPY ポンド/ドル |
1.9pips | 2.3pips |
AUD/JPY 豪/円 |
1.4pips | 2.0pips |
参考:AXIORY
USD/JPYの場合はECN口座である「ナノ・スプレッド口座」は1.0pipsなのに対し、STP口座である「スタンダード口座」では1.4pipsも必要です。
取引コストは売買をする度に発生するため頻繫に取引をすればするほど、大きな負担となります。ECN口座に比べるとスプレッドが広く取引コストがかかるのは、デメリットの一つだと言えるでしょう。
5-2-2板情報を見られない
ECN口座では板情報が閲覧でき予測や現状の把握に役立てることができましたが、STP口座では板情報そのものを見ることができません。
国内FXでは板情報を投資に活用する場合が多いので、海外FXでも同じように一つの目安にしたい場合には注意が必要です。
トレーダーによって戦略の立て方は異なりますが、板情報を見て買い注文や売り注文が推移を予測し投資に役立てたい人にとってはマイナスとなるでしょう。
5-3.ECN口座とSTP口座の違い一覧
ここまで、ECN口座とSTP口座の特徴をそれぞれ見てきましたが、どのような違いがあるのか分かりやすくまとめると下記のようになります。
ECN口座 | STP口座 | |
---|---|---|
取引方法 | トレーダーの注文が直接インターバンク市場に流れて自動的に売買がマッチングする仕組み | トレーダーの注文を受けてFX業者が金融機関とマッチングさせる仕組み |
スプレッド | 狭い |
やや広い |
取引手数料 | あり |
なし |
約定拒否 | なし |
ほぼなし |
レバレッジ | 低い |
高い |
板情報 | あり |
なし |
最小取引通貨量 | 大きい |
やや小さい |
ECN口座はFX業者を介在しない分透明性が高く、取引コストを抑えられるところが特徴です。その反面、最小取引通貨量や最低入金額額が大きく、口座開設時にまとまった資金が必要となる可能性があります。
STP口座は意志の反映はないもののFX業者が仲介する分、スプレッドがやや広くなりECN口座よりも取引コストがかかります。一方で、ECN口座よりも最小取引通貨量や最低入金額が小さい場合があり少額で始めやすいところが特徴です。
このように、どちらの口座も一長一短があり自分に向いているのか検討し、利用する必要があります。次の章では、ECN口座を選ぶべき人の特徴を詳しく解説していきます。
6.ECN口座を選ぶべき人とは?4つの特徴
ECN口座が向いている人の特徴として
・ある程度海外FXの取引経験がある人
・取引コストを抑えたい人
・スキャルピングで取引をしたい人
の3つがあります。なぜECN口座が向いているのかチェックして、自分と合う特徴はあるのか確認してみてください。
6-1.ある程度海外FX経験のある人
ECN口座はある程度海外FXの知識や経験があり、独自の策略を活かした取引をしたい人にもおすすめです。ECN口座はSTP口座では利用できない板情報が活用でき、売買状況を把握しながら予測を立てる戦略的な取引が可能です。
タイムログによるリスクを避けたスピード感のある取引もできるので、狙ったタイミングでの取引がしやすくなります。このようなECN口座ならではのメリットは、ある程度の海外FX経験がないと上手に活用できません。
・板情報を確認しながら戦略的な取引がしたい
・スピード感のある取引で収益をあげたい
・約定力を活かした戦略を立てたい
という人は、今までの知識を充分に活用できるECN口座を選んでみてください。
6-2.取引コストを抑えたい人
ECN口座は、取引コストを低く抑えたい人に向いています。
取引コストは、通貨数×スプレッドで算出できます。クロス円の場合は1pipsが0.01円なので手数料が1.0pipsと1.4pipsの場合を比較すると、50万通貨取引をした場合には2,000円もの差が出ます。(AXIORYのナノ・スプレッド口座、スタンダード口座を例に比較)
ナノ・スプレッド口座(レバレッジ+取引手数料) | スタンダード口座 | |
---|---|---|
USD/JPY ドル/円 |
1.0pips=0.01円 | 1.4pips=0.014円 |
20万通貨取引をした場合 | 2,000円 | 2,800円 |
50万通貨取引をした場合 | 5,000円 | 7,000円 |
つまり、取引通貨量や取引回数が多い人ほど取引コストを抑えることで、効率的に利益を得られるようになるのです。
「3.ECN口座の4つのメリット」でもご紹介したように、STP口座とECN口座を比較しても、STP口座のほうがスプレッドを含む取引コストは3割程度低くなります。少しでも取引コストを抑えたい場合は、ECN口座を選んだほうがいいでしょう。
6-3.スキャルピングで取引をしたい人
スキャルピングとは、極端に短い時間に売買を繰り返し利益を積み重ねる手法です。数秒や数分単位で売買を繰り返すので、タイムラグや約定拒否が大きな損失につながる可能性があります。
また、取引回数が多く狙っている利幅が小さいので、取引コストがかかりやすい側面があります。
ECN口座は
・約定拒否がない
・約定スピードが速くタイムラグが少ない
・取引コストが抑えられる
というメリットがあるので、スキャルピングをするときに懸念される要素をカバーできます。スキャルピングでの海外FX取引を視野に入れている場合は、ECN口座を検討してみてください。
7.ECN口座開設におすすめの業者5選
最後に、ECN口座開設は向いている海外FX業者として、下記の5つをご紹介します。
ECN口座の開設におすすめの海外FX業者 | |
---|---|
TitanFX | ブレード口座 |
AXIORY | ナノ・スプレッド口座 |
XM Trading | XM Zero口座 |
TradeView | ILC口座 |
GEMFOREX | ノースプレッド口座 |
それぞれどのような特徴があるのか詳しく解説しているので、自分に合う口座を見つけてみてください。
7-1.TitanFX「ブレード口座」
出典:TitanFX公式サイト
TitanFXの「ブレード口座」は、ZEROPOINTと呼ばれる独自テクノロジーが採用されています。ZERO POINTでは
・スプレッド幅の縮小
・約定能力や約定スピードの向上
・入出金プロセスの簡略化
・サポート体制の強化
などを掲げており、ECN口座ならではのメリットが最大限に活かせるところが特徴です。とくに、可能な限り最狭スプレッドとなるよう運用されているので、取引コストを抑えたい人に向いています。
また、TitanFXのECN環境はニューヨークのEquinixNY4ファイナンシャルデータセンター内に設置されておりLPに直接データ転送しているので、安定感とスピード感のある取引ができるところも特徴。
ZERO POINTテクノロジーのお陰で約定力やスピード、サポート体制などバランスの取れたECN口座だと言えるでしょう。
約定スピード | 秒単位の約定スピードを実現(公式サイトで言及) | |
---|---|---|
取引手数料 | 0.7pips | |
スプレッド | USD/JPY:1.05 EUR/JPY:1.46 GBP/JPY:2.17 AUD/JPY:1.84 など |
|
最低入金額 | 200USD相当額 | |
最小取引通貨量 | 1,000通貨 | |
スキャルピング規制 | なし |
7-2.AXIORY「ナノ・スプレッド口座」
出典:AXIORY公式サイト
ヨーロッパを中心に知名度が高い、振興の海外FXブローカーAXIORYの「ナノ・スプレッド口座」。大きな特徴としてスピード感のある取引が可能、日本語サポートがあるという2つが挙げられます。
「ナノ・スプレッド口座」は約定率を重視しており、1/1,000秒の実行スピードを持っているところが特徴。(公式サイトに記載)コンピューターサーバーはエンジニアによって24時間監視をしているので、安定感のある取引ができます。
また、日本語でのチャットサポートも導入しているので、海外FXに慣れていない人でも利用しやすい環境が整えられています。これからECN口座で海外FXを始めたい人やタイムラグのないスピード感のある取引をしたい人におすすめです。
約定スピード | 1/1,000秒の実行スピード(公式サイトで言及) | |
---|---|---|
取引手数料 | 0.6pips | |
スプレッド | USD/JPY:1.00 EUR/JPY:1.10 GBP/JPY:1.40 AUD/JPY:1.10 など |
|
最低入金額 | 200USD相当額 | |
最小取引通貨量 | 1,000通貨 | |
スキャルピング規制 | なし |
7-3.XM Trading「XM Zero口座」
XM Tradingは、当サイトの「海外FX業者の総合おすすめランキング」でも1位を獲得している人気と知名度ともに高い海外FX業者です。
出金スピードが速く日本語対応のサポートセンターがあるので、安心して利用できるところが大きな魅力。信頼性も高く、サーバーダウンなどのリスクも極めて低いです。
他のECN口座に比べるとスプレッドがやや広めというデメリットはありますが、頻繫にスプレッドが広がることはなく約定力があるので安定した取引ができます。また、最低入金額が100USD(約10,000円)と比較的低コストなので、手軽に口座開設ができるところもポイント。
初めて海外FX口座を開設する人やリスクを限定して取引したい人に向いています。
約定スピード | 全取引の99.35%を1秒以下で執行(公式サイトで言及) | |
---|---|---|
取引手数料 | 1.0pips | |
スプレッド | USD/JPY:1.10 EUR/JPY:1.40 GBP/JPY:1.30 AUD/JPY:1.40 など |
|
最低入金額 | 100USD相当額 | |
最小取引通貨量 | 1,000通貨 | |
スキャルピング規制 | なし |
7-4.TradeView「ILC口座」
TradeViewの「ILC口座」は、比較的取引コストが低いところが特徴です。取引手数料は往復で0.5pips、スプレッドが狭いので取引コストを抑えた売買ができます。
一方で、最小取引通貨が10,000通貨、最低入金額が1,000USD(10万円相当)となっており、口座開設や取引にある程度まとまった資金が必要です。
海外FXにある程度慣れていて、大口での取引がしたい人は検討してみてもいいかもしれません。
約定スピード | 非公開 | |
---|---|---|
取引手数料 | 0.5pips | |
スプレッド | USD/JPY:0.60 EUR/JPY:0.90 GBP/JPY:1.00 AUD/JPY:1.00 など |
|
最低入金額 | 1,000USD相当額 | |
最小取引通貨量 | 10,000通貨 | |
スキャルピング規制 | なし |
7-5.GEMFOREX「ノースプレッド口座」
GEMFOREXの「ノースプレッド口座」は、ECN口座にも関わらず取引手数料が無料です。スプレッド幅も狭いので、取引コストを抑えられるところが大きな魅力。また、約定スピードが速く、全取引の99.99%が0.78秒以内に執行されているため、タイムラグのリスクを抑えられます。
一方で、最低入金額が3,000USD(30万円相当)なので、手軽に口座開設ができるとは言い難いでしょう。最大レバレッジは1,000倍とECN口座にしては高いため、TradeViewの「ILC口座」同様に大口取引ができる資金力や知識がある人に向いています。
約定スピード | 全取引の99.99%が0.78秒以内に執行(公式サイトで言及) | |
---|---|---|
取引手数料 | 無料 | |
スプレッド | USD/JPY:0.30 EUR/JPY:0.50 GBP/JPY:1.00 AUD/JPY:0.60 など |
|
最低入金額 | 3,000USD相当額 | |
最小取引通貨量 | 1,000通貨 | |
スキャルピング規制 | 基本的には制限はないが、サーバーの執行能力に支障があると判断した場合に制限される可能性がある |
8.まとめ
いかがでしたか?ECN口座とはどのようなものなのか理解でき、海外FX取引に活用すべきか検討できたかと思います。
最後にこの記事の内容をまとめてみると
◎ECN口座とは、トレーダーの注文が直接インターバンク市場(電子取引所)に流れて自動的に売買がマッチングする仕組みを採用している口座のこと
◎ECN口座の特徴は次の3つ
1)トレーダーの注文が直接インターバンク市場に反映されるので約定スピードが速い
2)約定拒否が起こらない
3)スプレッドだけでなくFX業者に対する手数料が発生する
◎ECN口座のメリットは次の4つ
1)FX業者が取引に介在しないので、取引の透明性が高い
2)板情報を見て同行を予測できる
3)スピード感のある取引ができる
4)スプレッドが狭く取引コストが抑えられる
◎ECN口座のデメリットは次の2つ
1)最低入金額や取引通貨量が高く設定されている場合がある
2)レバレッジが制限されている場合がある
◎ECN口座と比較されるSTP口座とは、トレーダーの注文を受けてFX業者が金融機関とマッチングさせる仕組みを採用している口座のこと
◎STP口座のメリットは次の3つ
1)レバレッジが高く設定されている
2)最小取引通貨量や最低入金額が低く設定されている場合がある
3)ECN口座のような取引手数料がかからない
◎STP口座のデメリットは次の2つ
1)スプレッドがやや広く、ECN口座よりも取引コストがかかる
2)板情報が見られない
◎ECN口座とSTP口座の違いは、下記のとおり
ECN口座 | STP口座 | |
---|---|---|
取引方法 | トレーダーの注文が直接インターバンク市場に流れて自動的に売買がマッチングする仕組み | トレーダーの注文を受けてFX業者が金融機関とマッチングさせる仕組み |
スプレッド | 狭い |
やや広い |
取引手数料 | あり |
なし |
約定拒否 | なし |
ほぼなし |
レバレッジ | 低い |
高い |
板情報 | あり |
なし |
最小取引通貨量 | 大きい |
やや小さい |
◎ECN口座が向いているのは、下記の3つの特徴がある人
1)板情報を有効活用できる等、ある程度海外FXの取引経験がある人
2)取引コストを抑えたい人
3)スキャルピングで取引をしたい人
◎ECN口座の開設におすすめのFX業者は下記のとおり
ECN口座の開設におすすめの海外FX業者 | |
---|---|
TitanFX | ブレード口座 |
AXIORY | ナノ・スプレッド口座 |
XM Trading | XM Zero口座 |
TradeView | ILC口座 |
GEMFOREX | ノースプレッド口座 |
この記事をもとに、自分に合う口座を選び海外FXの取引ができるようになることを願っています。
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