「FXチャートのローソク足にはどんな種類があるの?」
「ローソク足でチャート予測できるって本当?」
FXのローソク足には基本的な型が17種類あり、これらのローソク足の組み合わせによってローソク足チャートが作られています。
これらのローソク足は、一見すると単純な形をしていますが、実はそれぞれのローソク足は市場の動きを克明に記録しています。
このためローソク足を極め、常にローソク足チャートを正しく見ることができれば、複雑なテクニカル指標を用いたトレンド分析を行わなくても、精密な相場分析が可能になります。
ただしローソク足の動きからトレードに役立つ情報を手に入れるためには、ローソク足単体の種類は特徴だけでなく、隣り合うローソク足の作る関係や複数のローソク足が作る相場のパターンなどについて、多くの知識を持つ必要があります。
そこで今回は
- ローソク足の基本的な見方
- 知っておくべきローソク足17種類の基本型
- ローソク足は組み合わせて見るべき
- 2本のローソク足が作る3つのパターン
- ローソク足を極めればトレードで利益が上がる
について詳しく解説していきます。
この記事を読めば、ローソク足の知識を利用して、あなたのトレードでより大きな利益を重ねることができるようになります。
1.ローソク足の基本的な見方
冒頭で13種類のローソク足についてお伝えしましたが、まずは全てのローソク足に共通するローソク足の基本的な味方について確認しましょう。
ローソク足は基本的に、一定期間の相場の動きを示すものですが、ローソク足が示す期間に価格が上がるものを「陽線」、価格が下がるものを「陰線」と言い、その期間の始値と終値の価格差がない場合を除いて、全てのローソク足は陽線・陰線のいずれかのパターンに大別されます。
ローソク足は、それぞれのローソク足が示す期間の始値、終値、高値、底値の4つの価格で構成されます。
また始値と終値によって作られる太い部分を「実体」と呼び、高値によって伸びる細い線を「上ヒゲ」、安値によって作られる細い線を「下ヒゲ」と呼びます。
ローソク足チャートは実は江戸時代に日本で生まれたチャートで、たいへん歴史があるものですが、シンプルに始値、終値、高値、底値が一目瞭然でわかることから利便性が高く、現在では海外でも広く普及しています。
ではこの特徴を踏まえて、17種類のローソク足について、次章からそれぞれの特徴を見ていきましょう。
2.知っておくべきローソク足17種類の基本型
冒頭でもお伝えした通り、ローソク足には17種類の基本パターンがあり、ローソク足チャートはこれらの組み合わせによって構成されてます。
一つずつ確認しましょう。
2-1.小陽線と小陰線
上下にヒゲを出し、上値と下値の間におさまる始値と終値による「実体」の部分が小さい陽線、陰線のことを「小陽線」「小陰線」と言います。
相場が小幅に動く状況、また相場の方向性に迷いが見られる場面で現れるローソク足です。
2-2.大陽線と大陰線
上下にヒゲを出しますが、ヒゲ部分は短く、これに対して実体の部分が大きい陽線・陰線を「大陽線」「大陰線」と呼びます。
大陽線、大陰線は、特に買い、または売りの勢いが強い場面で現れることが多く、いずれも買い・売りの勢いが強いことを示すローソク足です。
下げ相場の大陽線や、上げ相場の大陰線のように、トレンドに反する形でこれらのローソク足が出た場合は、トレンド転換のシグナルにもなります。
2-3.上影陽線と上影陰線
いずれも上ヒゲが長く、かつ実体の部分が下方に小さく出現するローソク足のことを「上影陽線」または「上影陰線」と呼びます。
上影陽線・上影陰線は、いずれも買い方の勢力が買いを進めた場面で売り方の抵抗によって価格が戻されたことを示し、ヒゲが長ければがないほど売りの圧力が強いことも示されます。
また、これらが高値圏で現れた場合には下落トレンドへの転換を示す場合があります。
2-4.下影陽線と下影陰線
実体の下にヒゲを長く伸ばすローソク足のことを下影陽線・下影陰線と言います。
いずれも買いの勢いが底堅いことを示すローソク足で、底値圏で現れた場合は上昇トレンドへの転換を示す兆しとなります。
2-5.陽線坊主と陰線坊主
上下にヒゲが現れない陽線・陰線を陽線坊主・陰線坊主と呼びます。
ヒゲが現れないということは、ローソク足の示す期間の始値と終値が高値・安値と同じであることを示します。
つまりその期間の上昇・あるいは下降のトレンドが非常に強く、今後もその強いトレンドが続く状況を示唆します。
2-6.トンカチ(陽線・陰線)
上影陽線・陰線と同様に上ヒゲが長く、さらに下ヒゲが存在しないローソク足のことをトンカチと呼びます。
トンカチも陽線として現れるケースと、陰線として現れるケースの2つのパターンがあり、陽線トンカチの場合は始値と下値が一致、陰線トンカチの場合は終値と下値が一致する状況を示しています。
トンカチは相場上昇の勢いのおとろえを示すもので、底値圏・高値圏で現れる場合はトレンド転換が生じる可能性を示します。
2-7.カラカサ(陽線・陰線)
カラカサはトンカチとは反対に、上ヒゲがなく下に長いヒゲを伸ばすローソク足のことを言います。
カラカサも陽線と陰線があり、陽線カラカサは終値と高値が重なる状況、陰線カラカサは始値と上値が一致する状況を示します。
カラカサは相場下落の勢いの衰えを示すものであり、陽線カラカサ・陰線カラカサいずれも、これが現れる場面ではトレンド転換を示す兆しとなると言われています。
2-8.十字線・トンボ・トウバ
十字線・トンボ・トウバの3つは始値と終値が常にほぼ同じ状態のローソク足で、陰線・陽線の判断ができません。
いずれのローソク足も実体の部分に厚みがなく、買い方と売り方が拮抗している状態を示すものですが、ヒゲの伸び方の違いや、これらのローソク足がどの場面に現れるかなどによって、それぞれのローソク足が示唆する市場の状況は異なってきます。
一つずつ解説していきましょう。
◎十字線
十字線とは始値と終値が同じ値で実体部分がなく、上下に同程度の長さに伸びるヒゲを持つローソク足で、一文字の線状となった実体と上下のヒゲがちょうど十字の形を作ることからこのように呼ばれます。
十字線は基本的に、売り方と買い方のそれぞれの力が拮抗している状態を示します。
実際のチャートでは、高値圏においても安値圏においても、それぞれのトレンドを牽引する買い方・売り方の力が弱まりつつある状況を示唆します。
◎トンボ
トンボは、十字線と同様に始値と終値が同じで実体がなく、さらに上ヒゲが極端に短い、または上ヒゲ
がない状態のローソク足です。
ローソク足が示す期間中に一度大きく下げることで安値をつけたあとで値を戻したケースで現れるローソク足で、上ヒゲがないケースでは、始値・終値・高値の3つの値が全て等しくなることになります。
トンボが安値圏で現れた場合は上昇へ、また高値圏で現れた場合は下落へトレンド転換する兆しを示します。
◎トウバ
トウバとは、トンボと反対に、始値と終値が同じで実体部分がなく、下ヒゲが極端に長いローソク足で、場合によっては下ヒゲが全く現れないケースもあります。
トウバは始値・終値・底値が拮抗している状態を示し、ローソク足の表示する期間に一時的な買い圧力があり、さらにその期間内に急速に値を戻したことを示しています。
トウバはトンボと同様、安値圏で現れた場合は上昇へ、また高値圏で現れた場合は下落へトレンド転換する兆しを示します。
3.2本のローソク足が作る3つのパターン
ここまでローソク足の種類と特徴について詳しく確認してきましたが、実際のチャート分析では2本のローソク足を組み合わせて見ることで、さらに精度の高い分析を行っていきます。
以下に示すのはローソク足2本の組み合わせによる基本的なパターンです。
これらを知っておけば、トレードでも役に立つより実践的な分析ができるようになっていきます。
一つずつ確認しましょう。
3-1.包み線
ローソク足が一つ前のローソク足の高値と安値を包み込むように現れる状況を「包み線」と言います。
包み線は「抱き線」や「抱き足」などと言われることもありますが、2つのローソクによって構成され、高値圏で出るか安値圏で出るか、また前後のローソクが陽線であるか陰線であるかなどによって、示唆する内容も変わってきます。
特に注意したいのが以下の2つのケースです。
- 安値圏で現れ、1本目が陰線、2本目が陽線の包み線
- 高値圏で現れ、1本目が陽線、2本目が陰線の包み線
一つずつ確認しましょう。
◎安値圏で現れ、1本目が陰線、2本目が陽線の包み線
このケースでは、下落トレンドが上昇トレンドへ転換するタイミングを示唆します。
2本目のローソク足では下落トレンドの流れで、出だしは売り方が優勢となって始まったが、売り圧力が弱まり、一気に買いの勢力が一つ前の高値を超える価格まで値を上げたという状況です。
つまり売り方と買い方の勢力が逆転した状況を示すサインなのです。
◎高値圏で現れ、1本目が陽線、2本目が陰線の包み線
このケースでは、反対に上昇トレンドが下落トレンドへ転換するタイミングを示唆します。
買い圧力が優勢で順調に値をあげて2本目のローソクに差し掛かったところで、始まりこそ高く始まっていますが、その後、買い勢力が弱まり売り圧力に逆転され、一つ前のローソク足の安値を超えて大きく値を下げたという状況です。
2本のローソクによる分析は、ローソク単体による分析よりも精度が高まるため、このように包み線が高値圏・安値圏で現れる場合は、トレンド転換の兆しとして注意するべきでしょう。
3-2.はらみ線
はらみ線は、包み線とは反対に、2本のローソク足の1本目のローソク足の範囲に、2本目のローソク足の高値と安値がすっぽりとおさまる状況を示します。
はらみ線も包み線と同様、高値圏で現れるか安値圏で現れるか、また2本のローソク足がそれぞれ陽線であるか、陰線であるかによっても、示される相場の状況は大きく異なってきます。
特に以下の2つのケースについて事前に知ってけおば、相場の分析に役立ちます。
- 高値圏で現れ、1本目が陽線、2本目が陰線のはらみ線
- 安値圏で現れ、1本目が陽線、2本目が陽線のはらみ線
一つずつ確認しましょう。
◎高値圏で現れ、1本目が陽線、2本目が陰線のはらみ線
このかたちが高値圏で現れた場合、上昇相場が一服し、相場が天井を形成する可能性を示唆します。
ここまで続いてきた上昇相場が、2本目のローソク足に差し掛かった場面で下落に転じ、買いの圧力が弱まったことがわかります。
ただし、2本目のローソクでの下落圧力はそれほど強くなく、1本目の底値を超えて値下がりすることはなく、包み線ほど強いトレンド転換を示してはいませんが、相場が天井とトレンド転換の兆しを示すサインであることは間違いありません。
◎安値圏で現れ、1本目が陽線、2本目が陽線のはらみ線
反対に安値圏ではらみ線が現れ、1本目のローソク足が陰線、2本目のローソク足が陽線の場合、相場が底値圏を形成する兆しと読むことができます。
1本目のローソクでは下落トレンドにしたがう形で値を下げ、2本目では始値から前の相場の底値から値を上げる形で反転を見せています。
価格の反転上昇は一つ前のローソク足の高値を超えるほどに強くはありませんが、相場が底値に達し、これ以上の価格下落が生じない可能性が示されています。
3-3.窓
「窓」は隣り合う2本のローソク足の高値(安値)と高値(安値)が大きく乖離している状態を示し、特に上昇・下落の勢いが強い場面で現れます。
窓が生じる場面では、図で示すように隣り合うはずのローソク足が上下にずれ、2つのローソク足の間に空間が生じることから、このような状況を「窓を開ける」「窓開け」などと表現します。
窓は相場の急変によって生じることも多く、突発的な経済ニュースが発信された場合や予想に反する経済指標が発表された場合などのケースが引き金となって発生することが多くあります。
4.ローソク足を極めればトレードで利益が上がる
FXトレードではさまざまな分析手法があることが知られていますが、実はローソク足による分析を極めるだけでも十分に利益を上げることは可能です。
最後の章では、ローソク足のチャートが持つ可能性を以下の2つのポイントで解説しましょう。
一つずつ解説します。
4-1.ローソク足にはタイムリーな相場の動きが克明に刻まれている
ローソク足チャートの最も大きなメリットは、簡潔なローソク足のフォルムの中に、常にその時点での相場の動きが克明に刻まれているということです。
FXトレードでは、移動平均線やエリオット波動、ボリンジャーバンドなど、さまざまな分析手法があり、これらのテクニカル分析による相場予測も一般的です。
しかしこれらのテクニカル指標は多くの場合、一定期間の平均値によって算出されるため、特定の期間の高値や底値などは、指標を見るだけで判断することができません。
一方でFXトレードでは、スキャルピングやデイトレードなどのように、特に短期の取引を行う場合、取引直前の微妙な値動きや、一瞬の価格変動に見える挙動が次の相場の局面を左右するというケースは少なくありません。
このような場面では常に一定期間の高値・底値・始値・終値を正確に把握できるローソク足の方が、相場の予測がしやすいのです。
この点からも瞬時の判断が必要なFXトレードの場合、ローソク足は取引で利益を上げる上で欠かせない情報源の一つなのです。
4-2.「プライスアクション」でローソク足の動きだけで相場を予測できる
ローソク足の動で相場を予測する方法として特に有名な手法が「プライスアクション」です。
プライスアクションとは、ローソク足の動きだけを用いて複雑な相場分析を行うことを可能にした相場分析の手法で、日本だけでなく、欧米のトレーダーから特に高い評価を得ています。
2章では17種類のローソク足の基本型について、そして3章では2本のローソク足の関係に現れる相場の動きについてお伝えしましたが、プライスアクションではさらに多くのローソク足の組み合わせることで、より精密な相場予測が可能になります。
またプライスアクションでは、ローソク足の動きをパターンに落とし込んで解析し、トレードタイミングを判断していくため、複雑なテクニカル分析が必要なく、取引経験が浅い初心者でも対応できるというメリットもあります。
以下に示しているのは、プライスアクションの基本パターンです。
プライスアクション 12の基本タイプ | |
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トレンドの発生と継続を示す プライスアクション |
・スラストアップ |
・スラストダウン | |
・ランウェイアップ | |
・ランウェイダウン | |
トレンド転換を示す プライスアクション |
・リバーサルハイ |
・リバーサルロー | |
・フォールスブレイクアウト | |
・フェイクセットアップ | |
相場のもみ合いを示す プライスアクション |
・インサイドバー |
・アウトサイドバー | |
値動きに対する抵抗感を示す プライスアクション |
・ピンバー |
・スパイク |
これらのパターンを覚えるだけで、実際の取引の局面で冷静で客観的な判断ができるようになり、取引の利益にもつながるのです。
プライスアクションについては、以下のページでさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回はローソク足の種類について詳しく解説しました。
FXチャートなどでよく知られているローソク足チャートのローソクには基本的型が17種類あり、これらのローソク足の組み合わせによってローソク足チャートが作られています。
これらのローソク足の一つ一つは単純な形をしていますが、実はそれぞれのローソク足は市場の動きを克明に記録しており、ローソク足の分析を極めれば、複雑なテクニカル指標を用いたトレンド分析を行わなくても、精密な相場分析が可能になります。
ただし、ローソク足単体で精度の高い相場予測を行うことは難しいといえるでしょう。実際には複数のローソクの組み合わせることで、さらに詳細な価格変動の予測を行います。
本文中では、ローソク足2本による基本パターン3種についても、詳しく解説しました。
- 包み線
- はらみ線
- 窓
また、さらに多くのローソク足の動きをパターン化して分析する手法として特に有名なのが「プライスアクション」です。
プライスアクションでは複雑なテクニカル分析が必要なく、取引経験が浅い初心者でも対応できるなどのメリットから、日本だけでなく、欧米のトレーダーから特に高い評価を得ています。