「FXのトレンドラインってどんなもの?」
「トレンドラインってどうやって引いたらいいの?」と思ったことはありませんか。
トレンドラインとは、FX相場がどの方向に動いているかを分析するためにチャート上へ引く線を指し、トレンドの方向性や持続性などを判断するために用いられています。
このように便利なトレンドラインですが、FXチャートソフト上では表示されないことが多いため、正しい引き方を理解し、身に付けることが大切です。
この記事では、以下についてお伝えしていきます。
- トレンドラインとはなにか
- FXにおいてトレンドラインが用いられる5つの理由
- トレンドラインの引き方
- トレンドラインを引く際の注意点
- トレンドラインを使いこなす3つのポイント
本記事でトレンドラインについて理解を深め、引き方をマスターし、FXトレードに役立てていきましょう。
目次
1. FXにおけるトレンドラインとは
FXトレードで勝率を上げるためには、相場チャートを分析するトレンドラインを活用するのがおすすめです。
相場は、上昇、下降、横ばいの3つの方向性(トレンド)で値動きを繰り返します。FXではトレンドに合わせて取引を行うため、現状分析に役立つトレンドラインを理解することがとても大切です。
本章では、以下について詳しく解説していきます。
- トレンドラインとは
- 2種類のトレンドライン(サポートラインとレジスタンスライン)
1-1. トレンドラインとは
トレンドラインとは、FX相場がどの方向に動いているかを分析するためにチャート上へ引く線を指します。
線を引くことで、トレンド相場(上昇もしくは下降)なのか、それともレンジ相場なのかを判断できるため、広く使われている分析方法です。
全時間帯のうち、トレンドが発生するのは30%程度と言われていますが、一度上昇もしくは下降のトレンド相場になると、長期間継続する傾向があります。
トレンドラインは、以下の2種類です。
・サポートライン
・レジスタンスライン
以下で、詳しく解説していきます。
1-1-1.サポートライン
チャート上の安値同士を結んだ線をサポートライン(下値支持線)と呼びます。
価格が下落しても、サポートラインを突き抜けて下回ることはないだろうという予測ができます。しかし、いったんサポートラインを突き抜けてしまった場合はトレンドが変化し、一気に下落していく可能性も否定できません。
1-1-2. レジスタンスライン
チャート上の高値同士を結んだ線をレジスタンスライン(上値抵抗線)と呼びます。
価格が上がっても、レジスタンスラインを突き抜けて上回ることはないだろうという予測ができます。しかし、いったんレジスタンスラインを突き抜けてしまった場合はトレンドが変化し、一気に上昇していく可能性も否定できません。
2. FXにおいてトレンドラインが用いられる5つの理由
さまざまな分析方法があるなかで、トレンドラインは世界中のFXトレーダーに利用されています。
トレンドを把握するのはもちろん、売買のタイミングを判断するのにも役立つトレンドラインですが、FXにおいて利用されている理由は、主に以下の5つです。
- トレンドの方向性がわかるから
- トレンドの強弱がわかるから
- トレンドの持続性がわかるから
- エントリータイミングの目安がわかるから
- 損切りの目安がわかるから
それでは、以下でひとつずつ解説していきます。
2-1. トレンドの方向性がわかるから
トレンドラインを用いると、トレンドの方向性がわかります。
具体的には、右肩上がりのラインであれば上昇トレンド、右肩下がりのラインであれば下降トレンドと判断できます。もし、トレンドラインが水平である場合は横ばい(レンジ相場)です。
多くの場合、買い注文を出したいのであれば上昇トレンドで、売り注文を出したい場合は下降トレンドで行われるため、トレンドラインを活用して相場の方向性を把握することが重要です。
2-2. トレンドの強弱がわかるから
トレンドラインの角度を見ることで、トレンドの強弱がわかります。
上の図のように、直線の傾きが急、つまり角度が垂直に近くなるほどトレンドが強いと判断できます。
この場合、トレンドの勢いが強いため、利益も大きく狙える可能性が高まるでしょう。しかし、いったんサポートラインを下回ってしまうと、トレンドが転換し一気に下落する可能性があるため、傾きが急であればあるほど注意が必要です。
2-3. トレンドの持続性がわかるから
トレンドライン上でレートが何回反転しているかを見ることで、トレンドが今後も続く可能性が高いかどうかを判断できます。
トレンドライン上で反発する回数が増えてくると、FXトレーダーたちがそのトレンドラインを意識するようになります。その結果、トレンドラインに近づくタイミングでトレーダーたちが売買を繰り返し、何度も反発が繰り返され、トレンドの持続につながります。
そして、ひとたびトレンドラインが破られ反対方向に動くと、現在のトレンドは終了となることが多いです。
逆に、反転回数が少ないトレンドラインはトレーダーたちの目にも止まりづらく、持続性に乏しいといえるでしょう。
2-4. エントリータイミングの目安がわかるから
トレンドラインを使うと、エントリータイミングの目安がわかります。
以下の図のように、トレンドラインに触れて反転したポイントがエントリータイミングの目安です。
上昇トレンドの場合は、サポートラインに触れて反転したタイミングで買い、下降トレンドの場合は、レジスタンスラインに触れて反転したタイミングで売りと判断するとよいでしょう。
2-5. 損切りの目安がわかるから
トレンドラインを活用すると、損切りの目安がわかります。
以下の図のように、トレンドラインに触れたものの反発せず、下抜けあるいは上抜けしてしまったら損切りの目安と考えてください。
上昇トレンドの場合は、サポートラインを突き抜けて下抜けしたタイミングで損切り、下降トレンドの場合は、レジスタンスラインを突き抜けて上抜けしたタイミングで損切りと判断するとよいでしょう。
3. トレンドラインの引き方
トレンドラインは、FXチャートソフトで自動表示されないことがほとんどのため、自分で引き方をマスターすることが大切です。
以下で、上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場それぞれのトレンドラインの引き方を解説していきます。
3-1. 上昇トレンドと下降トレンド
右肩上がりの上昇トレンドの場合、以下のように最安値を起点としたローソク足の2点以上の安値と安値を結んでサポートラインを引きます。
右肩下がりの下降トレンドの場合は、最高値を起点としたローソク足の2点以上の高値と高値を結んでレジスタンスラインを引きます。
安値(高値)であればどこでも良いわけではなく、最安値(最高値)を起点とするルールを必ず守ってください。
3-2. レンジ相場
レンジ相場は横ばいの状態なので、2点以上の高値と高値を結ぶレジスタンスラインと、2点以上の安値と安値を結ぶサポートラインを水平に引きます。
なお、トレンドラインを引く際には、ローソク足の実体部分だけではなく、ヒゲも含めたチャートで引いていきましょう。レンジ相場だけではなく、上昇トレンド、下降トレンドでも同じです。
海外、とくに欧米圏ではバーチャート(ローソク足のヒゲ)でトレンドラインを引くトレーダーが多く見られます。FXトレーダーが多い欧米圏のスタイルに合わせることで、より正確なトレンドラインに近づいていくでしょう。
◎時間足にはこだわらずに練習する
どの時間足を選ぶのが適切かについてですが、サポートラインを引く練習をするだけであれば、難しく考えずに好きな時間足を選びましょう。
トレンドラインを引くことに慣れ、時間足も意識したい場合は、「5-2. トレードスタイルに合った時間足を使う」を参照してください。
4. トレンドラインを引く際の注意点
トレンドラインは正しく引かないと、正確な相場分析ができません。
間違ったトレンドラインを引かないよう、以下の2点に注意してください。
- 高値と安値の認識をルール化する
- トレンドラインを引くタイミングを理解する
以下で、ひとつずつ解説していきます。
4-1. 高値と安値の認識をルール化する
高値同士、安値同士を結ぶ際に、高値と安値の認識に一貫性がないと毎回違うトレンドラインを引いてしまうため、認識方法をルール化してください。
高値と安値の定義付けで広く使われている方法が、スイングハイ・スイングローというルールです。
スイングハイ:最高値より低い高値のローソク足が左右に6本ずつできた状態
スイングロー:最安値より高い安値のローソク足が左右6本ずつできた状態
スイングハイの状態ができたら高値、スイングローの状態ができたら安値と定義づけるようにすると、ブレることなくトレンドラインが引けるようになります。
FX初心者がしてしまいがちな、「なんとなく高値(安値)同士を結んでみた」という根拠のないトレンドラインではなく、スイングハイ・スイングローのルールに基づいて高値と安値を認識したラインを引いていきましょう。
4-2. トレンドラインを引くタイミングを理解する
トレンドラインは、引くタイミングを理解することが重要です。
相場は高値と安値を常に行き来して動いていますが、以下のルールにもとづいてトレンドラインを引いてください。
上昇トレンドライン:直近高値を更新したのを確認してから、始点安値と直近安値を結ぶ
下降トレンドライン:直近安値を更新したのを確認してから、始点高値と直近高値を結ぶ
例として、上昇トレンドラインの場合を図で表すと、以下のようになります。
あわてて、直近高値を更新していないのにトレンドラインを引かないようにしましょう。
始点と直近高値を確認したら、直近高値を上回るまではじっと待ち、更新したタイミングで線を引くようにしてください。
5. トレンドラインを使いこなす3つのポイント
ここまで、トレンドラインの引き方や注意点について解説してきましたが、実際にトレンドラインを使いこなすには、以下でお伝えする3つのポイントを意識していきましょう。
- 何回もトレンドラインを引く練習をする
- トレードスタイルに合った時間足を使う
- ほかの分析方法と組み合わせて使う
それでは、ひとつずつ解説していきます。
5-1. 何回もトレンドラインを引く練習をする
トレンドラインを使いこなすためには、自分で繰り返し引いて練習することが大切です。
FX会社のチャートソフトではトレンドラインが表示できないケースが多いため、自分でトレンドラインを何度も引いて、どれが実際に合っていたのかを確かめていきましょう。
もし、チャートソフトなどでトレンドラインを自動的に引く機能があったとしても、必ず自分で引けるようにしておいてください。ソフトが引いたトレンドラインが必ずしも正しいとは限りませんし、何よりも自分で引けなければ、トレンドラインが意味するところを理解できないからです。
トレンドラインの引き方を理解したと思っても、いざ引いてみると迷ってしまうこともあるでしょう。しかし、数多くトレンドラインを引く練習をすることで、徐々に正しい感覚を身に付けられるようになります。
いきなり本番の取引で練習すると、損が出てしまう可能性があるので、デモ取引などを利用して数多く練習していきましょう。
5-2. トレードスタイルに合った時間足を使う
トレンドラインを引く際には、自分が行っているトレードスタイルに適した時間足を使いましょう。
たとえば、数秒から数分の値動きで利益を取っていくスキャルピングを行っている場合、日足や週足では正確にタイミングがつかめません。長期的な相場を確認するために長い時間足を使う場合でも、1時間足くらいが適切です。
以下は、トレードスタイルによってよく使われる時間足の一覧です。使いやすい時間足を選んで、トレンドラインを使いこなしていってください。
トレードスタイル | メインで使う時間足 | サブで使う時間足 |
---|---|---|
スキャルピング | 1分足、5分足 | 30分足、1時間足 |
デイトレード | 15分足、30分足 | 1時間足、4時間足 |
スイングトレード | 4時間足 | 日足 |
長期トレード | 日足、週足 | 月足 |
5-3. ほかの分析方法と組み合わせて使う
トレンドラインはFXトレードの王道手法ですが、トレンドラインだけで勝とうとすると難しい場合があるため、ほかのテクニカル分析と合わせて使うのがおすすめです。
なかでも、トレンドラインに加えて移動平均線を使う手法がよく用いられます。トレンドラインは相場変化に対する反応が早いのが特徴ですが、逆に反応が早すぎて、相場が下落していると思ったらすぐに戻ってしまったという状況が起こりがちです。
そこで、トレンドラインよりも反応が比較的ゆっくりな移動平均線を合わせて使うことで、取引判断の精度が高くなります。
トレンドラインと移動平均線の両方が上抜けした、あるいは下抜けしてから売買することで、予想と反対方向に相場が動くダマシを回避でき、利益を上げる確率が高まるでしょう。
6. まとめ
本記事では、FXにおけるトレンドラインについて解説しました。
◎トレンドラインとは、FX相場がどの方向に動いているかを分析するためにチャート上へ引く線を指します。
トレンドラインは、以下の2種類です。
・サポートライン
・レジスタンスライン
◎トレンドラインがFXで利用されている理由は、主に以下の5つです。
- トレンドの方向性がわかるから
- トレンドの強弱がわかるから
- トレンドの持続性がわかるから
- エントリータイミングの目安がわかるから
- 損切りの目安がわかるから
◎トレンドラインの引き方には、それぞれ決まりがあります。
間違ったトレンドラインを引かないよう、以下の2点に注意してください。
- 高値と安値の認識をルール化する
- トレンドラインを引くタイミングを理解する
実際にトレンドラインを使いこなすには、以下でお伝えする3つのポイントを意識していきましょう。
- 何回もトレンドラインを引く練習をする
- トレードスタイルに合った時間足を使う
- ほかの分析方法と組み合わせて使う
本記事が、トレンドラインを活用してFX取引の勝率を上げていく参考になりましたら幸いです。