「海外FXの損益は損益通算できるの?」
「損益通算を活用して節税をしたい!」
海外FXでは損益通算できるのかどうか気になってこの記事にたどり着いたのではないでしょうか?
結論から言うと、海外FXの損益は損益通算を行い、税金を減らすことが可能です。
もしあなたに副業などの損益があれば、これと海外FXの損益を合算することで効果的な節税が実現できます。
ただし、海外FXの損益通算は、なんで無条件に損益通算ができるわけではありませんし、損益通算を行うことが徳にならない場合もあります。
このため海外FXの利益で損益通算を行いたい場合、以下に示す3つの注意点を正しく理解しておく必要があります。
海外FXの損益通算では、合算できる損益が定められており、一般的な給与所得や事業所得は合算することができません。
ただしあなたが副業や他の投資などで、海外FXの損益と損益通算できる損益があれば、支払う税金を大幅に減らすことができる可能性もあります。
また海外FXの損益通算では、海外FXで被った損失を節税対策に利用することで、一定額の投資の損失を税金の減額によって取り戻すことができるという利点もあります。
そこで今回は
- 海外FXにおける損益通算とは
- 海外FXの損益通算で知っておくべき3つの注意点
- 海外FXと損益通算ができるものできないもの
- 海外FXで損益通算の他にできる節税対策
について詳しく解説していきます。
この記事を読めばあなたも、海外FXの損益通算を適切に行うことで、支払う税金を大きく減らすことができますよ。
1.海外FXにおける損益通算とは
まずは海外FXの損益通算についての基本的な知識を、以下の3つのポイントで詳しく解説しましょう。
一つずつ確認していきます。
1-1.海外FXの損益通算とは海外FXの損益を他の損益と合算する節税対策
海外FXの損益通算とは、確定申告の際に海外FXの利益を他の損益と合算することを言い、これを行うことによって課税所得を引き下げ、税金を下げることができます。
海外FXの利益は、一定の金額を超えると確定申告を行うことが避けられません。
もしあなたが、副業など他の仕事で損失を出している場合、確定申告の際に海外FXの利益との損益通算を行うことで、課税される収入の総額を減らし、結果として所得税・住民税を減額することができます。
海外FXの損益通算を行うためには、副業やその他の投資利益などの収入があることが前提となりますが、効果的に損益通算ができれば、大きな節税効果を生む可能性があります。
このため自分に損益通算ができるのかどうかを確認しておくことも、決して無駄ではありません。
1-2.海外FXの損益通算を行うべき2つのケース
海外FXの損益通算を行うべきケースというのは基本的に以下の2つのケースのいずれかです。
海外FXの損益通算を行うべき2つのケース |
・海外FXは利益があり副業や他の投資で損失を出した ・副業など他の収入があり海外FXで損をした |
一つずつ確認しましょう。
◎海外FXは利益があり副業や他の投資で損失を出した
まず海外FXで一定以上の利益を上げている方で、副業や他の投資などで赤字を抱えている方です。
この場合、海外FXの利益を副業や他の投資での赤字と合算し、利益を相殺することで、確定申告時に、課税所得を下げることができ、結果的に所得税や住民税の減税が実現します。
◎副業など他の収入があり海外FXで損をした
また反対に、海外FXで損失を出したが、副業や他の投資では利益を上げたという方も、海外FXの損益通算で節税ができる可能性があります。
この場合、海外FXの損失を、副業や他の投資の利益の圧縮に利用することができます。
副業や他の投資の利益に、海外FXの損失を合算することで、課税所得を下げ節税を実現できるというわけです。
つまり海外FXの損益通算は、海外FXの「損失」を節税対策として利用することで、投資の損失を穴埋めできるという効果があるのです。
1-3.海外FXの損益は無条件になんでも損益通算できるわけではない
ただし、冒頭でもお伝えしたとおり、海外FXの損益を合算できる収益は細かくルールが定められており、自由に損益通算ができるわけではありません。
代表的なものとしては例えばサラリーマンの給与所得や自営業者が自分の事業の利益として申告する事業所得は、海外FXの損益との合算はできません。
またこれは次章でも詳しく解説しますが、株や債権による投資利益でも、課税方式として「総合課税」を選んでいる場合は、海外FXの損益との通算はできません。
海外FXの損益通算では、自分が確定申告する損益の中に、海外FXの損益と通算できるものがあるかどうかを、事前に正しく理解することが大切なのです。
海外FXの損益と損益通算できる損益の種類についての詳細は、「3.海外FXと損益通算ができるものできないもの」でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
2.海外FXの損益通算で知っておくべき3つのルール
海外FXの損益通算では、損益通算ができるケースとできないケースがあり、特に以下の3つのポイントについては、注意点として正しく認識しておくことが大切です。
一つずつ解説しましょう。
2-1.海外FXの収益は「総合課税」しか選択できない
海外FXの損益通算でまず初めに知っておくべきなのは、海外FXの場合、確定申告で税金を申告する際「総合課税」しか選ぶことができないということです。
一般的な株やFXの投資利益にかかる課税方式は総合課税、分離課税の2つの方式があり、これらのいずれかを選ぶことができます。
投資利益の場合、分離課税のほうが、申告が簡単で税金を少なくできるケースも多いため、多くのケースで分離課税が選択されますが、海外FXの利益は税法上「雑所得」とみなされるため、この「分離課税」を選択することができません。
総合課税と分離課税には以下のような違いがあります。
分離課税 | 総合課税 | |
特徴 | 所得の種類ごとに個別に課税 | 対象となるすべての所得を合計し、その合計金額が課税対象となる。 |
確定申告 | 不要 | 必要 |
税率 | 定率 税率20.315% | 累進課税 最大45% (所得によって税率が変更される) |
適用される収入 | 山林所得 土地建物等の譲渡による譲渡所得 株式・国内FXの利益 所定の利子所得及び一定の先物取引による雑所得等 配当所得 退職所得 | 雑所得(海外FX、仮想通貨、アフィリエイトなどの利益) 不動産所得 給与所得(勤務先から受け取る給料) 事業所得 |
損失の繰越 | 3年分の損失を繰り越すことができる | 損失の繰り越しはできない |
住民税への影響 | 影響なし | 影響あり |
分離課税はサラリーマンの方が株で儲けた場合を考えると簡単です。
例えば例えばサラリーマンが株で儲けた利益を申告する場合、分離課税を選べば確定申告の必要はありません。
納税は仲介した証券会社が行ってくれますし、税率は会社からもらえる給与所得がいくらでも税率は変わらず、損失があった場合も3年まで繰り越しができます。
これに対して分離課税の場合は確定申告が必要になり、税率は他の所得と合算で累進課税となります。また損失の繰り越しもできません。
ここまで確認したところでは総合課税にメリットは全くないように見えます。
ただし分離課税には
- 他の収益と損益の合算ができる
- 経費、控除などを申告できる
という特徴があります。
つまり海外FXの損益通算は「総合課税」であるからできることでもあるのです。
さらにこれは「4.海外FXで損益通算の他にできる節税対策」でも詳しく解説している点ですが、さまざまな経費や控除を申告することで、投資利益の課税所得を下げることができるのも「総合課税」を選択した場合だけです。
2-2.「分離課税」による損益は海外FXと損益通算できない
国内FXや株式・債権などの投資利益を「分離課税」で申告した場合、総合課税で申告する海外FXの収益との合算はできません。
お伝えしたとおり、確定申告をしなくてよいという利便性と、20.315%の低く抑えられた税率から、ほとんどのケースで投資利益の申告に「分離課税」が選ばれます。
しかし分離課税は所得の種類ごとに個別に課税されることが定められており、他の所得との損益通算はできません。
このため、分離課税を選んだ投資の損益は、海外FXの利益・損失との損益通算はできません。
つまり、もし国内FXや株式・債権などの投資損益と海外FXの損益通算を行いたい場合は、分離課税ではなく総合課税を選ぶ必要があります。
2-3.海外FXで利益が出ても確定申告の必要がないケースがある
海外FXの利益は金額によっては確定申告自体が必要ないケースがあります。
以下の2つのケースでは、そもそも確定申告を行う必要がなく、従って損益通算を行う必要もありません。
- 給与所得があり海外FXの利益を含むその他の収入が20万円を超える場合
- 給与所得がなく海外FXの利益を含む収入総額が38万円を超える場合
サラリーマンなど給与所得のある方の場合、海外FXの収益を含む「雑所得」は、合計で20万円までは確定申告の義務が発生しません。
また主婦や学生の方などの場合で、年間の総収入額が38万円までの方も、同様に確定申告が免除されます。
自分が海外FXの利益を確定申告で申告する義務があるかどうかについては、以下のページでも詳しく解説していますので、参考にしてください。
【XMの税金】税金を払う必要がある?確定申告から節税対策まで解説
3.海外FXと損益通算ができるものできないもの
前章では、確定申告で区分される所得の種類によって、海外FXの損益が損益通算できるケースとできないケースがあることについて確認してきました。
実際にはどのような所得が損益通算の対象となり、どのような所得が損益通算できないのでしょうか。それぞれの内容について具体的に確認していきましょう。
一つずつ確認しましょう
3-1.海外FXと損益通算できるもの
海外FXとの損益通算が可能な所得は、確定申告における「雑所得」に分類されるものが該当します。
主なものとしては以下の3つがあげられます。
海外FXと損益通算できるもの |
・雑所得に分類される副業の損益 ・公的年金による収入 ・総合課税の投資損益 |
一つずつ確認しましょう。
◎雑所得に分類される副業の損益
一般的に「雑所得」に分類される副業は損益通算が可能です。
例えば、
- ネットオークションやネットショップでの損益
- 原稿料、印税、講演料
- アフィリエイトやデータ入力
など、基本的に自らの事業として行う副業か、業務委託などの業務がこれに当たります。
例えば、週末のアルバイトやパートのような「雇用契約」を結び給与を受け取るかたちの副業の場合、損益通算はできないため注意しましょう。
◎公的年金による収入
公的年金の所得はすべて「雑所得」となるため、海外FXとの損益通算が可能です。
このため、海外FXで損失を出した場合、この損失を年金収入と合算することで課税所得を減らし、節税に利用することができます。
◎総合課税の投資損益
投資損益でも、海外FXと同様に総合課税で課税されるものであれば損益通算が可能です。
例えば、以下のような投資の損益は「雑所得」とみなされ総合課税しか選択することができないため、損益通算が可能です。
- 海外先物取引の損益
- 仮想通貨取引の損益
また、株や債権、国内FXなどの一般的な投資損益でも、総合課税を選択した場合は損益通算が可能です。
3-2.海外FXと損益通算できないもの
海外FXの損益は、基本的には「雑所得」に該当しない収益は損益通算ができません。
主なものとしては以下の3つがあげられます。
海外FXと損益通算できないもの |
・給与所得 ・事業所得 ・分離課税で申告する投資損益 |
一つずつ解説しましょう。
◎給与所得
給与所得は雑所得との損益通算が認められていないため、海外FXの損益を通算することはできません。
給与所得とはその名前のとおり、サラリーマンやパートの方が、雇用種と雇用契約を結び、この契約に基づいて、労働の対価として支払われる給料のことをいいます。
このため、例えば海外FXの損失を給料による所得合算して、課税所得を減らすことは不可能です。
◎事業所得
個人事業主として働く方の主たる収入である「事業所得」も海外FXの損益との損益通算は不可能です。
事業所得とは、農業や漁業、小売業、サービス業などを個人で行う個人事業主の方々が、自分の主たる職業によって得る所得のことを言います。
事業所得は雑所得と区別され、損益も別々に計算することとなるため、損益通算はできません。
◎分離課税で申告する投資損益
「2-2.「分離課税」による損益は海外FXと損益通算できない」でも詳しく解説していますが、株や債権などの投資損益を分離課税で申告した場合、雑所得に該当する海外FXの損益との通算はできません。
もちろんこれもすでにお伝えしたとおり、これらの投資の損益を分離課税とするか、総合課税とするかは自由に選択ができるため、その年の損益に応じて支払う税金が少なければ、総合課税を選び海外FXとの損益通算を行うという選択肢もあります。
4.海外FXで損益通算の他にできる節税対策
ここまで海外FXの損益通算は節税対策として有効であることについて詳しく解説して来ましたが、損益通算以外にも、節税の可能性があります。
特に以下に示す3つの方法について、自分の税金を少なくする可能性があるかどうかを確認することは有意義です。
一つずつ見ていきましょう。
4-1.経費の計上
総合課税しか選べない海外FXのメリットとしてあげられるのが経費の計上です。
もちろん申告できる経費は海外FXの必要経費として認められるものだけですが、その範囲は決して狭くはありません。例えば、
- 海外FX関連の書籍の購入費
- 海外FXのセミナーや勉強会の参加費(会場までの交通費を含む)
- パソコンや携帯電話、周辺機器などの購入費、利用料
- 椅子や机などの購入資金
- 通信費
などの経費は、経費として取引の損益と合算することができます。
申告したい経費が認められるかどうか判断が難しい場合は税務署に確認すれば、教えてくれます。
これらの経費の合計を海外FXの利益から引いて課税所得を計算することになるため、経費計上による節税効果は決して侮れません。
ただし、経費の申告では領収書や支払ったことを証明する書類を必ず保管しておく必要があるため注意が必要です。
領収書などの書類は確定申告で提出する必要はありませんが、5年間は保管する義務があるため、廃棄処分などは決してしないようにしてください。
4-2.控除の申告
損益通算にはさまざまなルールがありますが、実際に課税される所得から税金を控除できる所得控除は、所得の種類にかかわらず節税の効果があります。
所得控除の対象となるものは意外に多く、これらを正しく行うだけで一定の節税効果が見込めます。利用できる控除には以下のようなものがあります。
・住宅ローン控除
10年以上の住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に受けることができる控除です。年末のローン残高の1%に当たる金額が所得税から控除されます。
・扶養控除
両親などへの仕送りを行っている場合、扶養控除として申告することができます。一緒に住んでいる人の場合、その人の所得が38万円以下、生計が別の場合はその人の給与所得103万円以下の場合、控除が認められます。
・生命保険料控除
保険料が控除対象になります。
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
毎月の積立金が控除の対象になります。
・ふるさと納税
寄付額から2,000円をさし引いた金額が所得税から減額されます。
・医療費控除
1年間に10万円以上の医療費を支払った場合は、医療費控除が受けられます。
4-3.法人化
特に海外FXの利益が大きい方の場合、個人として確定申告をするより法人化して、法人として海外FXの損益を申告する方が、税金が少なくなるケースがあります。
法人化した場合の最も大きい違いは税率です。個人の場合の税率は累進課税のため最大45%となりますが、法人税の場合最大でも23.2%のため、収益が大きい方の場合、節税の効果は大きいと言えます。
また所得の通算が容易になるという点も見過ごせません。個人の場合、雑所得しか通算ができませんが、法人になった場合、所得の分類という概念自体がなくなるため、自由に損益通算が可能です。
ただし
- 法人設立費用がかかる
- 赤字であっても支払わなければいけない税金がある
- 収益は会社のものになるため自由に使えなくなる
など、さまざまなデメリットもあるため、収益の少ないトレーダーの方には法人化はあまりおすすめできません。
一般的に法人化による損益分岐点は年間利益500万円とされており、年間500万円を超える利益が継続的にあるトレーダーは法人化を検討する価値があると言えるでしょう。
法人化については以下のページでも詳しく解説していますので参考にしてください。
海外FXトレーダーの法人化は年間収益が500万を超えると検討すべき
まとめ
今回は海外FXの損益通算について詳しく解説しました。
海外FXの損益通算とは、確定申告の際に海外FXの利益を他の損益と合算することを言い、特に以下のようなケースでは、損益通算を行うことによって節税の効果が見込めます。
- 海外FXは利益があり副業や他の投資で損失を出した
- 副業など他の収入があり海外FXで損をした
ただし、すべての損益を海外FXの損益と損益通算できるわけではありません。
海外FXの損益通算では、自分が確定申告する損益の中に、海外FXの損益と通算できるものがあるかどうかを、事前に正しく理解することが大切であり、特に以下の3つの注意点については、正しい知識を持っておく必要があります。
海外FXの損益通算 3つの注意点 |
・海外FXの収益は「総合課税」しか選択できない ・「分離課税」による損益は海外FXと損益通算できない ・海外FXで利益が出ても確定申告の必要がない場合がある |
海外FXでは損益通算できるものとできないものがあります。本文ではこれらについても詳しく解説しました。
損益通算できるもの | 損益通算できないもの |
・雑所得に分類される副業の損益 ・公的年金による収入 ・総合課税の投資損益 | ・給与所得 ・事業所得 ・分離課税で申告する投資損益 |
また海外FXの節税対策としては、損益通算以外にも以下の3つの方法があります。
海外FXで損益通算の他にできる節税対策 |
・経費の計上 ・控除の申告 ・法人化 |
海外FXの納税では確定申告を避けることができず、総合課税による課税を強いられるなどのデメリットがある中、海外FXの損益通算は合法的に課税所得を下げ、支払う税金を減らすことができる有意義な手段であると言えます。
海外FXで利益が出ている場合でも、損失が出ている場合でも、確定申告時に損益通算ができるかどうかについて、ぜひ一度確認してみることをおすすめします。
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